小規模出版社中心に構成する一般社団法人日本出版者協議会(出版協、水野久会長)は9月23日、出版物への総額表示義務化に反対し、特例の延長や外税表示の恒久化を求める声明を発表した。
消費税法は税額を含んだ総額表示を義務づけているが、消費税転嫁対策特別措置法によって現在は特例として外税表示が認められている。しかし、同措置法による特例は来年3月末で適用期限を迎え、4月からは総額表示が義務づけられる。
これに対して出版協は①価格表示については事業者が適切な方法を選択すべき問題であり、国が一律に強制することに無理がある②現状では「外税表示」を含めた価格表記が混乱なく広く受け入れられており、「総額表示」でなければ税額が分からないといった消費者からの苦情は考えにくい③再販商品である出版物については、消費税率改定のたびに、事業者に新たな諸費用・負担がかかることから、消費税導入時にも生じたロングテールの在庫書籍の絶版化などを再び招きかねず、このことが読者・消費者にとっての最大の文化的不利益となる――を理由として反対。
その上で、同措置法の特例適用期限の無期延長や、外税表示許容の恒久化を要望している。
出版協は、出版流通対策協議会の名称だった消費税導入時から外税表示を主張しており、当時、内税表示を強制したとして公正取引委員会を訴える行政訴訟も提起した。
▼出版協ホームページで声明を発表
https://www.shuppankyo.or.jp/post/seimei200923
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