中央公論新社は今秋、今年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの受賞後第1作『滅びの前のシャングリラ』や、村上春樹訳によるジョン・グリシャム『「グレート・ギャツビー」を追え』、石ノ森章太郎『新装版 マンガ日本の歴史』(全27巻)、新ムックシリーズ「歴史と人物」など大型企画を相次いで市場投入する。
【星野渉】
『滅びの前のシャングリラ』は初版7万部、10月6日取次搬入で発売する。著者は『流浪の月』(東京創元社)で今年の本屋大賞を受賞し注目を集めているため、中公新社がプルーフ判を700部ほど(うち書店に450部)配布したところ、200件を超える感想コメントのFAXが寄せられるなど良好な反響だという。
発売に向けて、冒頭の33ページ分の試し読み小冊子を作成し9月18日以降、書店への配布を開始。さらに、著者が書き下ろした同作のスピンオフ短編『イスパハン』を小冊子にして初回限定で書籍にシュリンクパックで挟み込む特典を提供する。
『「グレート・ギャツビー」を追え』は、村上氏がポーランド旅行中に書店でたまたま元本に出会って読みふけった。グリシャム氏側も村上氏が訳すことに驚きを示したという。10月6日取次搬入、四六上製、本体1800円で初版は4万部。
『新装版 マンガ日本の歴史』は1989年から55巻で刊行した作品を合本して文庫版27巻にまとめる。好調な「マンガ日本の古典」と同様にクイズ王・伊沢拓司氏(QuizKnock)が推薦。帯、パネル、新聞広告などで大々的なプロモーションを予定。
11月10日に1~4巻を発売し、その後、2021年3月まで毎月2巻ずつ刊行し、以降は1巻ずつ刊行、22年6月の完結予定。1巻は初版1万5000部を予定。このシリーズは過去に単行本、文庫版で累計948万部を販売しており、今回の新装版を加えて1000万部突破を目指す。
「歴史と人物」は不定期刊のムックとして、幅広い歴史好きに向けて刊行する。予価1000円、初版3万部を予定する。
11月初旬にまず『戦国争乱』(仮)と『江戸500藩のリアル』(仮)の2点を発売。年度内にさらに2点の刊行を目指している。宣伝は歴史好きに向けて新聞を中心に展開。全国紙をはじめ全国の地方紙に広告を打つ。
特約書店会「書店読売中公会」はオンラインに
同社の特約書店会「書店読売中公会」は毎年11月に総会を開催し、秋以降の大型企画を発表していたが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で総会を取りやめ、9月中旬からエリア別の会員書店向けオンライン説明会を開催している。
オンラインによるブロックごとの説明会や商談は今後不定期に開催していく計画で、同社営業局・東山健部長は「当社の営業や編集の担当者と、会員書店の仕入れやジャンル担当など、より現場に近い場所でコミュニケーションができている」と手応えを話している。