2007年に開店したTSUTAYA牧野高校前店(大阪府枚方市)が10月31日、フリードリンク、フリースナックという書店では珍しい時間定額制料金のカフェラウンジを併設した形態でリニューアルオープンした。
2階建て約390坪で本、CD、DVD、ゲーム系の販売やレンタルを営んできたが、1階の65坪をカフェラウンジ(72席)に改装。入口すぐには、全国のTSUTAYA売れ筋「ベスト1000」を配置。また、高品質な食品スーパーで知られる成城石井のプライベート商品、話題の韓国コスメなども並べた。
カフェラウンジはアルコールやスープ、30種類のソフトドリンクが飲み放題で、チョコレート、ナッツ、お菓子、パンも食べ放題。弁当などの持ち込みも可。購入前の本の持ち込みもOKという寛容なルール設定にした。
席は、グループなどで楽しめる「リラックスゾーン」からパソコン使用や勉強などに向く「集中ゾーン」、蔦屋家電(東京)で人気のマッサージチェアを置いた「息抜きゾーン」などファミリーから会社員、学生まで老若男女、全世代が利用できる空間を演出。
集中ゾーンは全席電源、Wi―Fi完備、さらに携帯電話の使用や、ウェブ会議にも適した周りを囲ったブースも備えた。専用アプリから席予約もできる。
サブスクリプション方式も採用
料金は1時間800円(小学生以下半額)からで、時間が増すごとに割引率が高く、終日料金や1ヵ月のサブスクリプション方式も選べる。
大幅リニューアルの意図について同社広報によると、「顧客アンケートの『近所にあればうれしいお店』で書店とカフェが圧倒的に多い。次にベーカリーなどが続く。またリモートワークの増加で、ずっと在宅では精神的に疲れる。そういった人たちが近くでくつろげる、仕事ができる空間づくりに取り組んだ」と説明する。
店内、本の在庫は9万冊以上。1階は「ベスト1000」の話題書や料理本、雑誌、なかでもファミリー層を想定して改装前以上に児童書を充実させた。2階にはセルとレンタルのコミック、及びCD、DVDなどのメディア商材。コミックはレンタルとセルを合わせると6万冊以上を誇り、地域最大級だという。レンタル商品のパッケージをスリム化したことで、在庫数を減らすことなく大幅なリニューアルが実現できた。
「発祥の地」も気負い過ぎず
村井慶店長は「エンタメ業界が刻々と変化する中、お客様のニーズに近づけていくことが必要。今回は『空間』を強く意識して地域で喜ばれたいという信念でリニューアルした。本を介して人が集まるコミュニティの場になってほしい」と話す。
大阪府枚方市は同社発祥の地。重圧について聞くと「この地で店長をしていることを誇らしく感じるが、気負い過ぎず、この新形態が全国のTSUTAYA店舗に広がるよう成功させたい」と抱負を語ってくれた。
【堀雅視】
〈TSUTAYA牧野高校前店〉
住所=大阪府枚方市養父東町58
電話=072(836)0088
営業時間=9~23時/年中無休