毎日新聞社が開発した教育プログラム「記者トレ―伝える力育てます―」を分かりやすく解説した書籍「新聞記者に学ぶ 観(み)る力、聴く力、伝える力」(日本能率協会マネジメントセンター)が9月30日、発売された。大学などで実施してきた記者トレの講義を再現したもので、課題解決型の学習を体験できる。
記者トレを監修した東京理科大学の井藤元(いとう・げん)准教授の協力を得て、毎日新聞社が編集。新聞記者36人へのインタビューをもとに、取材活動で身につけたコミュニケーション力や、情報を文章で伝える表現力を体系化した記者トレの要点を、初めて一冊の本にまとめた。
相手と目線を合わせる▽取材相手の発言を本人に要約して返す▽具体的に書く▽一文を短くする――など、本の前半では記者のスキルを45の「必勝パターン」に分解して解説している。後半はその実践編として、実際に記事を書いたり、見出しつけたりするという構成。前書きに「決して新聞記者を目指している人を対象に作られたものではない」と明記している通り、プロが実践している「伝える」ための技法を、誰もが活用できる形でまとめたのが特徴だ。
井藤准教授は「この本には上手な文章を書くためのノウハウが記されているのではなく、必要な情報を取捨選択しつつ、現実を捉える力を育むためのヒントが描き出されている。予測不能な現代社会を生きる全ての人に手にとっていただきたい」と話している。
□四六判/212ページ/1650円(税込)