「書店向けWeb商談会2020秋」報告書を公表 商談金額2000万円超える

2020年11月20日

リモートで行われた商談

 

 出版社24社による書店向けWeb商談会実行委員会はこのほど、10月に開催した「書店向けWeb商談会2020秋」の結果報告書を公表した。6月の「書店向けWeb商談会β版」に比べて出展社、来場者とも大幅に増加し、商談回数は779回、商談金額は2000万円を超えた。報告書では出版社による書店へのアプローチ方法など、オンライン営業のノウハウも分析している。

 

 「Web商談会2020秋」は10月5~16日の期間で開催され、出版社など149社(β版は49社)が出展し、書店などからの参加者数は235人(同104人)に達した。

 

 商談は出版社がウェブ上のカレンダー機能で設定する日時に参加者側がアポを入れ、オンライン会議システムで1対1の商談と複数参加者に対する説明会形式で行った。また、期間中はオンラインセミナーなどイベントも実施した。

 

 出展社と参加者にアンケートを実施し、出展社140社と参加者80人が回答。その結果、商談金額は全体で2043万2238円(上代)となり、商談回数は1対1の商談が779回行われた。商談回数が多かった出展社は世界文化社(25回)、PHP研究所(23回)、亜紀書房(20回)、ニジノ絵本屋(20回)だった。一方で商談がゼロだった出展社が16社あった。

 

 複数の参加者が参加する説明会は2社が計5回実施し計33人が参加。複数の出展社が順番に複数の参加者に対して行う説明会は児童書ジャンル(出展社27社合同)、芸術書ジャンル(同15社合同)で1回ずつ行い、それぞれ参加者は36人、6人だった。オンラインセミナーやトークイベントは8回実施した。

 

「プッシュ型営業」の活用で差

 

 商談が多かった出展社は、参加者が登録するメールアドレスや店名、担当ジャンルなどの情報に合わせてメールで商談を呼びかける「プッシュ型営業」を活用し、メールを送る際には一斉送信ではなく個人宛に送信したり、参加者に特典を用意するといった取り組みがあった。また、SNSのフォロワーが多いオンライン上で知名度が高い出展社には商談予約が多く入った。

 

 一方、商談ゼロだった出展社には、多忙で積極的な集客施策を行えなかったというところが複数あった。また、「プッシュ型営業」の利用を敬遠したという声もあったが、参加者側からは商談予約のきっかけになるため積極的にメールをして欲しいなど、「プッシュ型営業」を肯定する声が否定的な声の倍近くに達したという。

 

 出展社と参加者の満足度は、「次回も参加したい」が参加者で81%(β版は92%)、出展社で75%(同92%)だった。出展社では商談回数が少ない社が次回の参加を「わからない」と答える傾向があった。

 

 総括として、三芳寛要実行委員長(パイインターナショナル)は、書店側の業務やシステムの環境によって、まだ「参加できる書店が少数派」であるため、書店の経営者や管理職の理解を得る告知活動が必要と指摘。さらに既存の書店商談会との連携や、書店のBtoC支援に繋がる提案をすることなど環境作りを進めていく考えを示している。

 

 また、商談回数ゼロの出展社があったことについては、商談会を通して見えてきたオンライン営業のノウハウを共有することでレベルアップを図るとしている。

 

 報告書は「書店向けWeb商談会β版」報告書などとともに専用サイトにアップした。

 

「書店向けWeb商談会2020秋」 138社が参加して10月5日から開催