誠文堂新光社 漫☆画太郎の絵本『ももたろう』、新しい試みでプロモーションを展開

2020年11月30日

おかしばなしシリーズ第一弾『ももたろう』

 

 誠文堂新光社は12月10日配本で、デビュー30周年を迎えるマンガ家・漫☆画太郎氏による初の絵本作品、笑本(えほん)おかしばなしシリーズ第一弾『ももたろう』を初版1万部で刊行する。期間限定の全ページ無料公開や初版限定の特典などの新しい試みで、同書のプロモーションを図る。

 

 漫☆画太郎氏は『珍遊記』(集英社)や『地獄甲子園』(同)など、過激かつ独特なギャグセンスで、コアなファンに好評を博しており、同シリーズは、絵本作家「ガタロー☆マン」名義での出版となる。

 

おじいさんとおばあさんの登場シーン。絵本でも漫☆画太郎氏らしい作風は健在

 

72時間限定で全ページ公開

 

 同社は配本を直前に控えた、12月4日から6日までの72時間限定で全ページのゲラを特設サイトで掲載する。ユーザーはツイッター上で「#笑本おかしばなし」と付け、感想やコメントを発信することを条件に、ゲラ全ページを無料で読むことができる。

 

 また初版限定で、190万人近くのツイッターフォロワー数を抱える、人気声優の杉田智和氏による読み聞かせ音声を収録したQRコードを帯に掲載。さらに50秒程度のプロモーション用動画も用意している。

 

 同社・営業部販売課の楠本徹課長はこれらの取り組みについて、「本書は従来のパブリシティ戦略のメインとされる新聞の購読層に訴求するものではなく、WEBやSNSでの宣伝や広告で売り伸ばすことを想定している。この領域は、当社があまり取り組んでこなかった新しい試み。デジタル広告など新聞ではない媒体で、いかに読者に訴求できるか、その試みのマイルストーンにしたい」と今回の意図について語る。

 

 また楠本課長は、独自にマーケットリサーチをしたところ、「30~50代男性からの反響が大きかった」としたうえで、「漫☆画太郎先生が活躍していた、ジャンプ黄金期のパパ世代からの支持が厚く、書店でも児童書よりも、コミックやサブカルからの反応が多い」と話す。

 

 さらに発売に合わせ、紀伊國屋書店新宿本店をはじめたとした都内の数店舗では、数量限定で著者直筆のサイン入り原稿用紙を封入し、販売する予定だ。

 

 期間限定、SNS投稿者限定、初版限定など、「限定」をキーワードに発売時に話題のピークを集中させる同社の試み。クリスマス商戦で賑わう絵本市場で、「異彩」を放つ同書の今後の動向と反響に注目が集まる。

 

 なお、同シリーズはコロナ禍だからこそ、子どもを笑顔にすべく、「悲劇は喜劇に、喜劇はもっと喜劇に」をテーマに、今後も第二弾、三弾とシリーズ化を予定している。