双葉社は11月10日取次搬入で、小説界の新しい才能を世に送り出す「双葉文庫ルーキー大賞」の第二弾、斎藤千輪『だから僕は君をさらう』を初版1万5000部で刊行した。刊行前からプルーフ版の配布もしており、書店からの反応も上々だという。
紀伊國屋書店新宿本店では巨大パネルに加え、双葉社が提供した、人気声優・白井悠介氏による朗読動画も流すなど、初回150部を大きく展開。発売3日で50部を売り上げ、好スタートを切った。双葉社は、同店をベンチマークにしている書店も多いことから、今後の同書の広がりに期待を寄せる。
新人作家の育成が目的
同大賞は、今年8月に刊行した大橋崇行氏による第1回受賞作『遥かに届く君の聲』を皮切りにスタート。通常のアワードとは異なり、特設サイトで随時、投稿を募っており、編集者の目に留まったポテンシャルの高い作品を即文庫化する企画だ。
その他の投稿サイトとの違いについて、同社・営業局の奥山秀局次長は、「他社の投稿サイトが広く一般読者に公開しているのに対し、ルーキー大賞は、社内の者だけが読むことができる」としたうえで、「力量のある新人作家の作品を、書籍として世に出すことが主眼。投稿者も出版することを目的に投稿しており、投稿サイトというよりも応募サイトとして機能している」と同大賞の特徴を話す。
同社は小説推理新人賞の主催や、湊かなえや住野よるなどのベストセラー作家を世に送り出すなど、これまで長きにわたり、新人作家の育成に注力してきた。
営業局第二営業部の酒井正浩部長は「当社には、昔から新人作家を育てるという気風がある。ルーキー大賞も原石を発掘するという意味では同じ。さらに受賞作家とともに、この賞もより大きくしていきたい」と意気込みを語る。