全国地域書店の団体「書店新風会」(大垣守弘会長・大垣書店)は12月9日、第55回新風賞にブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)を選出したと発表した。また、コミック作品としては初めて吾峠呼世晴『鬼滅の刃』を特別賞に選んだ。
特別賞に『鬼滅の刃』 コミックで初受賞
同日、東京・千代田区の事務局会議室で開いた記者会見で、大垣会長は受賞作について「審議では爆発的なブームとなった『鬼滅の刃』を推薦する声もあったが、『ぼくは~』の得票数が『鬼滅の刃』を上回った点、また同書が世界的に広がる人種差別やジェンダーや格差といった現在の問題を反映している内容となっており、老若男女を問わず多くの読者が購入した」ことで選出したと説明した。
また、特別賞については「新風賞設立趣旨にある『書店店頭活性化に貢献した出版物』という点において評価された」と述べ、これまで上位10作品にも選ばれることのなかったコミック作品に初めて賞を贈ることを報告した。
第54回新風書に選ばれた山崎聡一郎『こども六法』(弘文堂)は受賞後の今年1月から8月までの期間、新風会会員書店での販売数が2万部を超えており、今回も受賞作については店頭での販売協力を呼びかける。
同賞は新風会会員書店30社の全従業員が1人3点の投票権を持つ第1次投票で10作品を選び、この中から役員会で受賞作を選出する。今回は書店員612人が1次投票を行った。贈賞式は2021年1月6日、東京・千代田区の日本出版クラブで関係者のみの出席で開催を予定している。