メディアドゥが運営する電子ゲラ配布サービス「NetGalley(ネットギャリー)」はこのほど、公開しているゲラに集まった会員からのレビューを1冊にまとめた冊子『NetGalleyレビューブックマガジン』を発行した。冊子第1弾は、今年実施した「おうち時間応援キャンペーン with くすのきしげのり」の施策の一環として制作された。
同キャンペーンは、新型コロナウイルスの影響で紙の本に触れる機会が減る中、「電子版は紙の本に触れる機会創出になる」として、電子ゲラをまずは知って、読んでもらい、そこで集めたレビューを発信することで、より多くの読者に情報を届け、紙の本へとつなげる試み。
企画の主旨に賛同した児童文学作家のくすのきしげのり氏とコラボレーションし、同氏の作品32点を全編公開したところ、5月から7月にかけて実施したキャンペーン期間中に、100名以上のレビューが集まった。
想像以上に大きな反響を受けたという、同社NetGalley事業の藤吉信仁氏は「レビューを集めるだけではなく、それをいかに拡げていくかをくすのき先生と考えた。その結果、レビューを1冊にまとめた冊子を、投稿者全員に送付して、書店や図書館の発注の参考や、自身の購入の検討材料などに利用してもらおう、という趣旨で今回の制作に至った」と話す。
また、来年1月16、17日に開催されるイベント「絵本ワールドin徳島」にNetGalleyが出展するブースでも、くすのき氏の読み聞かせやサイン会と合わせて、限定配布を企画している。
藤吉氏は大きかった反響のひとつとして「ある大学の司書教諭課程にNetGalleyを導入いただき、学生にキャンペーンへ参加してもらった。その中で、授業へ登壇したり、教員や司書を目指している学生たちとこれからの教育に本をどう交わらせるかなどの意見交換もできた」と話し、「今回の施策を、レビューを活用していく一例としたい。今後も出版社さんや作家さんと一緒にさまざまな企画を行っていきたい」と語る。
【野中琢規】