創元社『世界のふしぎな木の実図鑑』 植物好き、デザイン関係者などからも反響

2020年12月16日

□B5判変型・並製/176㌻/3000円(本体)

 

 創元社(矢部敬一社長)は11月16日、木の実の機能美、造形美を伝える『世界のふしぎな木の実図鑑』(小林智洋/山東智紀著、山田英春写真)を発刊した。「植物好きはもちろん、デザイン関係者などからも反響があり、出足は非常に好調」(同社編集局の小野紗也香さん)という。

 

 乾燥した種子や果実を「木の実」と括り、約300種を深度合成技術を用いた高精細画像で撮り下ろした。科ごとにまとめた第1部は、分類学上は同じグループでもバラエティに富んだ造形を楽しめる。

 

 第2部では水に浮く、羽根や綿毛で飛ぶ、熱ではじけるといった種子の繁殖手段別に紹介し、進化の妙を実感できる。第3部はトゲやうろこ、ひねり・ねじれ、花が開いたような姿など、造形の際立った特徴に着目している。すべての木の実に基本情報をつけ、分類学の変遷や木の実の利用法に関するコラム、分布マップも掲載した。

 

 著者の小林さんは巨大な松ぼっくりとの出会いをきっかけに世界中の木の実を収集。家業のジャム店を営むかたわら、10年前からイベントやインターネットで木の実を販売している。

 

 一方の山東さんは、大学で植物や木の実について研究した後、現在はタイで働きながら自然観察を続ける在野の研究者。小林さんの店で木の実の面白さにほれ込んだブックデザイナーの山田英春さんが写真とデザインを担当した。

 

 小野さんは、「世界の木の実をこれほど集め、写真にこだわった類書は見当たらない。子どもから大人まで幅広い読者に薦めてもらいたい」という。