池田書店は12月8日配本で、累計発行部数70万6500部の人気シリーズ「マンガでわかる」の28作目となる最新刊『地政学 改訂版』を刊行し、事前注文が相次いだことから、急きょ1万部を増刷。2刷1万9000部でスタートをした。
同書は2016年に旧版を刊行。11刷4万4000部まで達しており、地政学本の一般市場を切り拓いた本として好評を博していたが、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選など、昨今の国際情勢の変動も踏まえ、データや統計など、最新の情報を反映し、このほど改訂版として、新たに刊行するに至った。
一方で、地政学という学問の特性上、国際情勢が変動しても、各国の地理的な関係性は変わらないことから、旧版のときから、「10年先でも通用する地政学本」をコンセプトに編集、制作を心掛けたという。
さらに旧版刊行以降、地政学の類書が多数出版されたことを受け、表紙のコピーやデザインなどにも工夫を凝らした。
担当編集の高橋隆太副編集部長は「一般向けの地政学本が数多く出版されるなか、いかに目立たせるかを意識し、『日本人の知らない…』という旧版にはないコピーを使用した。さらに日本地図を逆さにしたイラスト、特色の黄色を配すなど、目をひくコピーや目立つデザインを意識した」と細部へのこだわりを語る。
書店ニーズに応えるセット
同社では例年、年末年始にかけ、同シリーズのフェア販促を仕掛けているが、今年は巣ごもり需要が見込めることから、さらなる販促に力を入れる。現在、進めているフェアは、各店舗の規模などに合わせて、Aセット(27点160冊)からDセット(16点56冊)を用意する一方、各アイテムを任意に選んで注文することもできる。
さらに各ジャンル棚でも展開できるよう、『日本史』や『世界史』などの「歴史」セット、『心理学入門』や『認知行動療法』などの「心理学」セットなど、カテゴリー別のセット5種も用意。
同社・営業部の野口英之部長は多岐にわたるセット組みについて、「返品率改善が求められる中、出版社の意向で大量に送り込むのではなく、各書店の規模やニーズに合わせて、柔軟に対応できるようにしている」と語る。
2月に磯田道史氏の新刊
同シリーズは、2010年に第一弾『百人一首』を刊行以来、同社の主力商品のひとつとして、シリーズ化。定番商品の『日本史』(発行部数6万5000部)、直近1年で最も売り上げている『認知行動療法』(同1万6000部)、さらに2月には、磯田道史氏が解説とマンガ原作を務める『災害史』の刊行も予定している。
野口部長は、「第一弾の刊行以降、編集部の健闘もあり、わかりやすく、かつ良質な雑学・教養本を10年間、提供し続けることができた。今後も当社の主力商材として販促に力を入れていきたい」と話す。
なお、これらA5判の教養・雑学をテーマにした同シリーズに加え、ビジネスや実用をテーマにした四六判の「マンガでわかる」シリーズもあり、両シリーズの累計発行部数は100万部に達している。