NHK出版は12月11日取次搬入、中山七里氏の小説『境界線』に、発売前重版をかけ2刷1万2000部で刊行した。同書は今年で作家デビュー10周年を迎えた中山氏の記念キャンペーンとして実施されている「単行本12カ月連続刊行」の最後の1冊。
また、来年秋の映画公開が決定した原作小説『護られなかった者たちへ』(NHK出版)のシリーズ続編で、人気俳優の佐藤健さんが主演を務める映画ビジュアルを使用した拡材を店頭で展開し、シリーズ新刊・既刊共に大きく併売展開するなど、同氏の記念イヤーラストを盛り上げている。
舞台は東日本大震災から10年を迎える宮城県
宮城県を舞台にした「宮城県警シリーズ」の第2弾である同書は、東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスをテーマに、震災によって引かれた「境界線」に翻弄される人々を描いたヒューマンミステリー。
同書の販売施策として、発売前にプルーフを活用し、SNSプロモーションや、「ダ・ヴィンチ」×「読書メーター」の献本キャンペーンを実施。いち早く読んだ読者からは、自身の境遇と重ね合わせ「震災後を生きることを改めて考えさせられる小説でもあった」「血の通った警察ミステリー」「読後にタイトルが突き刺さる」など、心を動かされたという感想が多く寄せられた。
出版社横断12カ月連続刊行キャンペーン最後の作品
著者の中山七里氏は「どんでん返しの帝王」の異名で広く知られる。『さよならドビュッシー』(宝島社)『ドクター・デスの遺産』(KADOKAWA)をはじめ、映像化作品も多く手がけている作家。
今年で作家デビュー10周年となったことを記念して、版元12社が連携し、毎月1冊ずつ新刊を刊行するキャンペーンも実施しており、同書が12作目としてラストを飾る。
同キャンペーンではそのほか、対象作品購入者特典の抽選企画や、期間限定の記念Twitterアカウントを共同運用し、記念イヤーを盛り上げている。また、連続刊行のフィナーレを飾る同書の刊行記念トーク&サイン会を、八重洲ブックセンター本店で12月20日に実施した。
□『境界線』=四六判上製/304㌻/本体1600円
NHK出版 各担当者からのコメント
【営業担当者】
自分は「境界線」のどちら側にいるのか? 「境界線」によって隔てられているものは何なのか? そもそも「境界線」はあるのか? 読後にタイトルについて思いを巡らせるとともに、誰もが「自分のこと」として物語に引き寄せられるような作品の強さがあります。ぜひ多くの方に読んでいただきたい作品です。
【宣伝担当者】
恥ずかしながら、ゲラを読み終えたとき、自席で泣いていました。(本当に恥ずかしい)生きているとたくさんの「境界線」に出合います。目に見えるものもあれば見えないものも。私はいつも越えてしまうことの方が多いようです。前作『護られなかった者たちへ』に負けず劣らぬ力強い作品になりました。
一人でも多くの方にお読みいただき、皆さんそれぞれの「境界線」を体感してほしいです。必ず引き込まれ、心が揺さぶられることを、お約束します。
【編集担当者】
ふだん作品に著者の思いを込めないとおっしゃる中山七里さんが、珍しく「祈りを込めました」というほど強い思い入れをもって執筆されたのが『境界線』です。
特異なキャラクターではなく市井の人々に目を向け、“人間”を描ききった本作は、自信を持って「ヒューマンミステリー」と冠するにふさわしい、具体的な誰かではなく、読む者それぞれの心に投げかける、いわば「わたしの物語」。
読後の余韻をぜひ噛みしめていただけたらうれしいです。