フタバ図書、事業再生ADRで事業継続 日販、蔦屋書店など6社が出資

2021年1月28日

 広島を中心に店舗展開するフタバ図書は3月1日、㈱ひろしまイノベーション推進機構が運営する「ふるさと連携応援ファンド投資事業有限責任組合」が設立する新会社に主要事業を譲渡し、同機構や大手取次の日本出版販売㈱(日販)、㈱蔦屋書店、地元企業などの出資を受けて事業を継続することになった。新会社はフタバ図書の商号を続用し、代表取締役CEOには日販上席執行役員の横山淳氏が日販を退職して就任する。

 

 新会社はフタバ図書及びその関連会社6社から、39店舗及びメディアマックス事業(レンタル卸)を含む主要事業を承継する。同機構と日販、蔦屋書店、地元企業の㈱もみじ銀行、㈱エディオン、㈱広島マツダが総額9億円を出資。出資比率は明らかにされていないが議決権の過半数を同機構が持つ。

 

 従業員のほとんどは新会社に移るが、創業家は経営から退く。新経営陣は現執行役員2人が取締役に昇格するほか、日販が横山社長CEOを派遣するのをはじめ、蔦屋書店がCOO、もみじ銀行がCFO、同機構が社外取締役を派遣ないし推薦する。またTSUTAYAとフランチャイズ契約を締結し、中古本や文具の売場強化、アミューズメントやフィットネスなどのサービスにも注力する。

 

 1月28日にオンラインで開いた記者会見で、同機構・熊谷賢一社長は今回のスキームが事業再生ADRによる手続きだと明らかにし、現フタバ図書の取引先すべてと借り入れの一部を新会社が引き継ぐと説明。負債が残る現フタバ図書は今後精算する。

 

 フタバ図書は1913年創業の書籍小売店で、広島県を中心に、新刊本、文具、ゲーム、中古本等の販売、CD/DVDレンタル、及びアミューズメント施設、コンビニエンスストア、カフェ、フィットネスなどのサービスが一体となった大型複合書店を展開。2020年3月期の売上高は約240億円で赤字を計上していた。

 

 会見で現フタバ図書・世良暢啓常務は、「書店経営の厳しい状況が続き、多角化は成功した事業もあれば難しい事業もあり、財務体質を強化するまでには至らなかった」とこの事態に至った経営状況を説明した。