DNP「本と活字館」オープン 活版印刷の技術と本づくりの魅力伝える

2021年2月22日

「市谷の杜 本と活字館」

 

 大日本印刷(DNP)は2月11日、市谷事業所(東京・新宿区)の再開発プロジェクトの一環として、1926(大正15)年の竣工以来「時計台」の愛称で親しまれてきた旧営業所棟の建物を修復・復元し、活版印刷の技術と本づくりの魅力を伝える文化施設「市谷の杜 本と活字館」の一般公開を始めた。入場無料、完全予約制(Webサイトで申し込み)。

 

 「本と活字館」は、DNPの事業の原点である活版印刷の職場を一部再現し、文字のデザイン、活字の鋳造から、印刷・製本までのプロセスを展示、紹介する施設。

 

 昨年11月19日にプレオープンし、今回、新型コロナウイルスの感染防止対策として、少人数での予約制をとるなどの体制を整えてグランドオープンした。

 

 同館では、昭和初期の印刷機が稼働する様子や、活版職人が作業する姿も動態展示の形で公開している。

 

 1階の「印刷所」は作字・鋳造・文選・植字・印刷・製本の6つの工程に分けて、活字と本づくりについて詳しく紹介する。昭和初期に動いていた活版印刷機も修理・復元して展示し、活版印刷や製本の職人がここで作業する。

 

 2階の「制作室」は、卓上活版印刷機やリソグラフ、レーザーカッターなどを利用してオリジナル印刷物が作れるスペース。さまざまな印刷や本づくりの作業が体験できる。緊急事態宣言中は実施しない。

 

 同じく2階にある「展示室」では、活字と本づくりに関連する企画展を開催する。開館記念展「時計台の修復・復元」(5月30日まで)では、この建物の修復・復元の工程の資料や映像を公開。展示内容は4カ月ごとに更新する予定。

 

 また、地下の「記録室」は、同館に関連する映像のアーカイブやDNPの歴史を紹介するコンテンツが、タブレット端末で見られる。大正時代から地中で「時計台」を支えてきた松の杭も展示している。

 

記録室でDNPの歴史などを紹介