今野書店は単店の独立系書店にも関わらず、NHKテキストの定期購読獲得ランキングで毎年、大手チェーン書店などに伍して上位にランクインしている。実はここ数年、NHK出版が全国の書店に拡材として提供している「NHKテキスト・CD定期購読申込書」は、同店の発案が元だったという。そんな同店の取り組みなどを聞いた。
同店はJR中央線の西荻窪駅から至近の商店街にある街の書店だ。書籍・雑誌の1階60坪とコミック専門の地下1階30坪の計90坪で営業している。
NHKテキストは入り口を入って正面、レジ前の雑誌棚のエンドにある。「テキストを買うお客様はいつもそれを目的に来店されるのですぐに分かる場所に常設します。また、比較的年齢層が高いお客様が多いので、いちいちご案内しなくてもレジでお示しできる場所にしています。パズル誌も同じです」と話すのは、店長で社長夫人の今野聖奈子さんだ。
定期購読獲得のためにやっているのはレジでの「声かけ」のみ。しかも、テキストの4月号購入者と3月号を買った人に継続の確認をすることに限っている。そのほかのお客様に声をかけるのは失礼になる場合があるのと、「レジではポイントカードやブックカバーのことなど、意外と声がけが多いので最低限に止めています」とレジ対応が煩雑になることを避けるためだ。
こうした取り組みの中で定期購読申込書は生まれた。毎年数百に上る定期購読を管理するために、以前は通常の取次客注伝票を使用していた。しかし、いちいち書名や相手の住所氏名を記入する煩雑さや、他の客注も記入しているため定期購読の管理が難しいといった課題があったため、テキストを一覧にして、レ点を入れるだけで対象書目を指定できる申込書を考案し、NHK出版に提案した。
申込書はシンプルなのでそのままお客様に渡して記入してきてもらうことも容易になった。ここに記入された注文を外商システムに入力しておくことで、発売日には伝票が出力され、入荷したテキストと照合できる。
他の書店にも広がっていることについて今野店長は「全国に広げてもらい、書店に足を運ぶお客様がひとりでも多くなれば」と歓迎している。今年も3月13日のテキスト4月号発売に向けて準備は万端だ。
□所在地=〒167―0042東京都杉並区西荻北3―1―8