「BooksPRO」新機能と活用術 JPOが説明動画を公開、各担当者が展望を語る

2021年3月9日

 

 日本出版インフラセンター(JPO)はこのほど、書店向け出版情報ポータルサイト「BooksPRO」の活用ガイド動画をホームページ上で公開した。動画では「書店はBooksPROの何を活用し、何に期待するのか」をはじめ、書店から要望されていた4テーマ「出版社系の受注サイトとの連携」「雑誌情報の表示」「販促情報表示の改善」「ためし読みの本格導入」など、新機能と活用術を紹介している。

 

2021年のBooksPRO 柳本氏「間違いなく前進の一歩」

BooksPRO推進会議リーダーの柳本重民氏(集英社)

 

 BooksPRO推進会議リーダーの柳本重民氏(集英社)は、出版情報登録センター (JPRO)の登録出版社が1895社、登録点数が250万点超となったことを報告。新刊(委託配本)の登録率は90・7%、そのうち書籍に限ると登録率は94・9%。また、登録書店は約2000店(図書館も含む)となった。いずれも昨年12月時点の実績。

 

 柳本氏は新展開の概要を紹介し、動画制作の狙いを語り、「動画で紹介している新展開の4テーマは、書店の声に応えたものだ。理想に到達するには遠い道のりだが、間違いなく前進の一歩だ」と述べた。

 

書店からの期待に応え、3つの「Q」を高める

左から聞き手の柳本氏、増田めぐみ氏(浜書房)、亀井崇雄氏(三省堂書店)

 

 「書店はBooksPROの何を活用し、何に期待するのか」と題し、BooksPRO推進会議メンバーの亀井崇雄氏(三省堂書店代表取締役社長)と増田めぐみ氏(浜書房取締役)が新機能にどのような期待をしているかを語った。聞き手は柳本氏。

 

 亀井氏は「コロナ禍によって、出版社は営業活動などで書店を訪問することが難しい状況だ。BooksPROの機能が充実していけば、サイト上だけで商談が可能になる。すべての書店に等しく情報が行き渡る環境が整う」と期待を込めた。

 

 そのうえで「書店側は情報を検索・取得する力、商品の手配力で勝負するようになる。そのためにも、3つの『Q』Quality(質)Quantity(量)Quickness(速報性)を高め、さらにサイトの操作性と機能を充実させる必要がある」と締め括った。

 

受注サイトとの連携 3月から順次スタート

3月から順次始まる受注サイトとBooksPROの連携

 

 「BooksPROの画面から直接発注へ 受注サイト連携開始」では、3月末から順次スタートするBooksPROと各受注サイトの連携について、JPO専務理事の渡辺政信氏が概要を説明した。

 

 既刊について今年3月以降、受注サイト「s-book」「Webまるこ」「Web Hot Line」「一冊! 取引所」との連携が順次スタートする。また、「Bookインタラクティブ」との連携も6月リリースを目指し、準備を進めているという。

 

 具体的な連携システムの仕様については、「BooksPRO」と「s-book」のバックグラウンドを担当する数理計画の岡野豊氏が解説した。

 

 連携がスタートすると、受注サイトのバナーが「BooksPRO」のページに表示され、クリックすると商品詳細ページに移動し、すぐに発注を行うことができる。なお、書店側は「BooksPRO」と受注サイトの両方でユーザー登録している必要がある。

 

 出版社側は、JPROの情報提供社かつ連携対象となっている受注サイトのいずれかに参加していることが条件となる。現在、新規出版社を受け付けている受注サイトは、「s-book」「一冊! 取引所」「Bookインタラクティブ」の3サイト。

 

 動画では、受注サイト未参加の出版社向けに、インテージテクノフィアの田中明生氏が「Bookインタラクティブ」のサービス紹介を行っている。

 

雑誌POSセンターとの連携で、雑誌情報も表示

左から井上直氏(ダイヤモンド社)と佐野洋氏(講談社)

 

 「雑誌情報の表示」については、雑誌・ムック登録PTリーダーの井上直氏(ダイヤモンド社)と同サブリーダー兼日本雑誌協会雑誌POSセンター運営委員長の佐野洋氏(講談社)が解説。1月26日から「BooksPRO」で雑誌情報の閲覧ができるようになり、実際に書店からはどのように見えるのか、デモを交えて新機能を紹介し、積極的な活用を求めた。

 

 また、今後はPOSセンターに加盟していない出版社の利用や、夏頃をめどに基本情報以外の目次・内容・特集・付録などの詳細な情報も登録できるように改修を行う。

 

販促情報表示を改善へ、ウェブ画面改修など

販促情報の反映時間を短縮

 

 「書店に響くBooksPRO販促情報の入力の仕方、使い方」と題し、販促WGリーダーの澤田剛氏(集英社)が改修ポイントを解説した。

 

 販促情報をより充実させるため、3月末に①販促情報の「BooksPRO」への反映時間が短縮②販促情報も注文サイトと連携し、書店側の手間を大幅圧縮③販促情報を見やすくするためにウェブ画面の改修――が予定されている。また、5月には注文書の自動生成機能も実装されることになった。

 

ためし読みサービス 3月1日から本格運用スタート

本格運用をスタートした「tameshiyo.me (ためし読み)サービス」

 

 3月1日から本格運用をスタートした「tameshiyo.me (ためし読み)サービス」については、ためし読み推進WGリーダーの小見山康司氏(白泉社)がデモ動画を用いて解説した。

 

 小見山氏は「ためし読みによって、書店の皆さんは書籍・雑誌の中身を確認することができる。また、出版社の皆さんにとっても、書店と読者に商品を効果的に訴求できるサービスとなっている。ぜひ活用してほしい」とサービス加入を呼びかけた。

 

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