筑摩書房『マンガ認知症』 6万部を突破、20年下半期でもっとも売れた認知症関連書に

2021年3月9日

『マンガ認知症』(ニコ・ニコルソン/佐藤眞一)

 

 筑摩書房が2020年6月に刊行したちくま新書『マンガ 認知症』(ニコ・ニコルソン/佐藤眞一)が、20年下半期でもっとも売れた認知症関連書(トーハンTONETSi調べ)として好評を博し、3月2日現在、10刷6万1000部に達した。

 

 「Web ちくま」の人気連載を書籍化した同書は、マンガ家ニコ・ニコルソンさんが祖母の介護経験をもとに、認知症の心理学の専門家で、医学博士・佐藤眞一氏に取材し、介護者が抱く悩みや疑問をとりあげ、マンガと文章で詳細に解説する。

 

 当事者目線で描かれていることから、発売直後からSNSや同社ホームページに、介護士や介護経験者らから、「漫画で気軽に読め、重くなく楽しく読める」、「介護はまだ先のことと思っている人にも、おすすめしたい」など、多数の声が寄せられた。

 

ウェブで緊急配信した番外編

 

 一方、大きな反響を呼び、順調に増刷を続ける中、「認知症の母はどうしてありがとうと言ってくれないのか? この本には答えがなかった」という読者からの声を受け、ニコさんが再び佐藤氏を訪問。マンガ「番外編どうして『ありがとう』と言ってくれないの?」を描きあげ、2月5日に「Webちくま」で緊急配信したことも話題となった。

 

 これだけの反響が寄せられた理由として、新型コロナウイルス禍による外出制限で、認知症の症状が進行し、介護の負担が増えたことも背景にあるという。

 

 同社は「コロナ禍で不安を抱き、必要以上に悩むことがないよう、この本を多くの方に読んでほしい」とコメントを寄せている。