講談社は総額表示義務化などに対応するため4月15日に発売する講談社文庫、講談社タイガ両レーベルの新刊からフィルムパックを施して出荷する。フィルムパック上に総額をシールで表示する。当面は新刊のみが対象で、既刊には行わない。両レーベルの新刊点数はあわせて毎月20点程度。
店頭では、来店者の立ち読み用の見本として書店側が1冊フィルムパックをはがすことを推奨する。書店はパックが着いたままでの返品が可能だが、文庫本体表4の価格表示などは変えないことで、仮にフィルムパックを剥がしたとしてもバーコードは印刷されているため返品時の入帳は可能。
菅間徹販売局長は、フィルムパック移行の最も大きな要因として、21年4月以降に義務化される出版物への総額表示の対応を上げた。また、今年50周年の講談社文庫の販売プロモーションで封入する特典しおりの落下防止、さらにコロナ禍で来店者が他の人が触れていない商品を手に取る傾向があることがわかったことも一因としている。
これら両レーベルと以前からスリップを廃止してフィルムパック化を推進してきたコミックス以外の書籍では、総額表示対応は帯かスリップなどへの表示を行うことを予定している。
講談社は2013年11月、『週刊少年マガジン』コミックスから自社でフィルムパックして出荷を開始。書店から店内での作業時間がなくなったことに強い支持があった。また、同社としても出荷時のヤレ率が大幅に下がり、廃棄率も減少する効果が見られた。文庫でフィルムパックできるようになったのは、既にコミックで行っているラインを流用することができたからだという。
今後、この施策への読者や書店の意見を聞き、他の文庫レーベルでの展開も検討していきたいとしている。
【成相裕幸】