アスコム 「アスのび」プロジェクト好調、健康実用書をビジネス書として展開

2021年3月24日

21年1月「ビジネス」と帯のテーマを刷新

 アスコムが2019年1月に刊行した「『空腹』こそ最強のクスリ」(青木厚著)が現在38刷33万部と、売れ行きを伸ばし続けている。同書の売り伸ばし成功に大きく関わっているのが、同社が推進している「アスのび」プロジェクトだ。

 

 同プロジェクトは、同社が実施する「書籍のさらなる魅力を書店員と探し出し、より多くの読者へ届けて、一緒にベストセラーを作るためのプロジェクト」で、既刊書籍を拡材の刷新や購入特典などさまざまな切り口で、新たな読者へ届ける取り組みとして積極的に行っている。

 

時勢に合わせた展開を実施

 

 「空腹」を活用した健康法を紹介する実用書の同書も、プロジェクトの対象書籍として、19年からまずは「健康書」として展開。近年の「断食」ブームとも重なり、TV番組や記事に取り上げられるなど注目を集めていたことから、続いて「食事術」、「女性向けダイエット」と、新しい読者に向けて帯や拡材をリニューアル提案し、19年末までに34刷23万部を突破した。

 

 しかし翌20年に入ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で市場全体の実用書売り上げが落ち込み、実用書ジャンルが刊行書籍の大きな比率を占めていた同社も苦戦を強いられたと、同社営業局営業推進部・増尾友裕次長は話す。

 

 一方で、ビジネス書市場は好調に推移していたことから、ビジネスパーソンにも訴求すべく、21年の1月下旬からメンタリストDaiGoの推薦帯を採用して展開を開始。

 

 新しくビジネス層をターゲットとしたリニューアル展開に対する書店からの期待が大きく、1月の出荷冊数は前月比7倍になった。

 

ビジネス層へのアピールが結実

 

 さらに1月26 、27日に「中田敦彦のYouTube大学」で同書が取り上げられたことで、Amazonへの出荷数が週2000冊以上になるなど、TVパブに匹敵するほどの反響があったという。

 

 特に、「YouTube大学」で紹介される書籍はビジネス書が主で、実用書はあまり選ばれないことから、今回の選定は「アスのび」プロジェクトのビジネスパーソン向けの提案が奏功した結果だろうと、増尾氏は分析する。

 

 また、大きなパブリシティ後は、その素材を用いた拡材が求められるという過去の経験から、すぐに拡材制作を開始したため、迅速に書店店頭での展開が出来た。結果、2月は書店からの注文冊数が1月より倍増し、トーハンの月間ベストセラーでは「生活実用書(2月)」の1位を達成した。

 

 1月下旬の施策から、10万部重版と大きく売り伸ばしていることを受け、同社は3月1日に「50万部プロジェクト決起会」を実施し、各部署の情報共有と、さらなる販促施策アイデアをまとめている。

 

 増尾氏は「『空腹』の様々な試みは他の他銘柄でも共有して、アスコムとして新しい成功法則を確立できるよう、全社を挙げて取り組んでいる」とし、これからもスピード感を大事に様々な展開を進める、と意気込みを語る。

 

▼「『空腹』こそ最強のクスリ」帯のテーマ変遷▼

19年1月「健康法」

19年7月「食事術」

19年12月「断食」