出版取次大手のトーハンは3月25日、電子書籍取次最大手のメディアドゥと資本業務提携契約を締結した。トーハンは自己株式をメディアドゥに売却、メディアドゥは第三者割当増資でトーハンに新株式を発行、約29億円を相互出資し、株式を持ち合う。今回の出資でメディアドゥはトーハンの筆頭株主になる。提携に基づき、書店での電子書籍販売のほか、「デジタル教科書やデジタル教材」や「電子図書館」について、地域の書店が流通に参画できるように環境を整えていくとしている。
書店でデジタルコンテンツ販売、ブロックチェーン技術も活用
両社は、地域の書店が紙の本に加え、デジタルコンテンツも店舗で販売できるスキームの構築を目指す。メディアドゥの持つテクノロジーを駆使し、読者が書店店頭で自由に本を選び、その本のバーコードを読み取るなど、簡単な方法で電子版が購入できる新しい仕組みを作る。
また、一般に流通している電子書籍だけでなく、キラーコンテンツとして、メディアドゥのブロックチェーン技術を活用したリアル書店限定の電子書籍、デジタル特典(音楽や動画も含む)付雑誌などの企画も検討している。
さらにデジタル技術を活用した店頭フェアやイベントなども企画し、書店への送客を積極的に図っていく方針だ。そのほか、トーハンが目指すマーケットイン型出版流通実現のため、メディアドゥが推進している電子ゲラ配布サービス「NetGalley(ネットギャリー)」や、開発中の「出版ERP (制作と販売に関わる情報を一元管理するクラウド型サービス)」を活用した提携についても協議し、電子と紙の出版市場、双方の拡大を狙う。
▼関連記事
紙と電子の出版取次大手 トーハンとメディアドゥが資本業務提携