フェイクニュース対策でネット事業者が中間まとめ、日本新聞協会も声明を発表

2021年4月2日

 ヤフーなどのIT企業でつくる一般社団法人「セーファーインターネット協会」は3月30日、ネット上のフェイク(偽)ニュースや誤情報への対策に関する中間とりまとめを公表した。それを受けて、日本新聞協会も同日に声明を発表し、取り組みの具体化に向けて意見交換を続けていく考えなどを示した。

 

 中間とりまとめでは、フェイクニュースをめぐる実態・最新の研究成果、SNSプラットフォーム事業者やニュースプラットフォームの取り組みなどをまとめた。

 

 そのうえで、民間部門による自主的な取り組みについて、ファクトチェックとリテラシー向上が対策の両輪であるとの認識のもと、具体的に取り組む必要性を指摘。

 

 ファクトチェックの取り組みは、対策の前提として「個人の情報を監視することで、個人の情報発信が萎縮するような結果を招くべきではない」として、正確でない情報が事実と誤認され、拡散されて悪影響を広げる恐れがある場合に対策を講じるべきとした。ファクトチェックのための情報収集、チェック対象の選別、検証と結果の発信までを担う主体の具体的な検討を進める。

 

 また、「フェイクニュースの検証には、ジャーナリズムの視点・ノウハウが不可欠。SNSを通じて広まったデマも、社会的影響が大きな事案についてはメディアにおいて検証がなされることも多い」として、伝統的なメディア、ネット事業者、学術研究機関など幅広い連携が必要だとした。

 

 また、フェイクニュース対策として、情報受容者のリテラシー向上が不可欠かつ基本的な対策となる」として、流通する情報そのものに対するリテラシー教育の重要性も指摘。「情報リテラシー向上には、情報の正誤を自ら判断するノウハウ、ファクトチェックが能力が不可欠」として、一般的なリテラシーの向上から、専門的な知識と技能を身につけた職業的ファクトチェッカーの育成などをあげた。

 

 新聞協会は声明で、フェイクニュースは民主主義の脅威で、世界中で喫緊の課題とし、「新聞・通信社が取り組む最大の偽情報対策は、正確で信頼できる情報の発信だ」と強調。取り組みの具体化に向け、意見交換を続けるとした。また、リテラシー教育の分野でも、積極的に貢献していく姿勢を示した。