新星出版社 大型外商企画に本格参入、『BANKSY』『日本の城辞典』6月刊行

2021年4月13日

前列右から新井氏、青山氏、 後列右から冨永専務、中里副本部長

 新星出版社は今夏から書店外商向けの大型企画を発売する。第1弾は匿名アーティスト「バンクシー」の作品集『BANKSY』と、国内1万38の城を収録した『日本の城辞典』の2点。いずれも6月搬入発売に向けて書店からの受注活動を展開している。

 

 『BANKSY』はA4変型判240㌻に作品140点以上(写真約300点)を収録。イタリアの出版社による国際共同出版として世界9カ国語版が発売される予定だが、コロナ禍の影響でイタリアをはじめとした各国での刊行が遅れており、6月18日取次搬入予定の日本語版が最初になる可能性が高い。

 

 収録作品は2018年頃までの最新コレクションで構成しており、日本で11年以降本格的な作品集は刊行されていないため、目にすることが難しかった作品も多い。

 

 「バンクシー作品の多くは壁などに書かれたストリートアートのため、ほとんど残っていません。そうした作品を見ることができるのがこの作品集です」と編集部・新井大介氏は述べる。

 

 個人の愛好家、図書館、学校の美術資料としての需要が見込まれ、同社では外商用のチラシと注文書、さらに希望する書店にはA3ポスターやPOPなども用意する。

 

 『日本の城辞典』は国内に4~5万はあるといわれる城(跡等も含む)のうち自治体の資料などから1万38城を厳選し、名前、所在地、立地、年代、主な城主などを1城1行で収録するこれまでにない規模の城データ集。

 

 構成は北海道・東北(1731城)、関東(1401城)、甲信越(923城)、北陸(428城)、東海(1121城)、近畿(1566城)、山陰・山陽(1121城)、四国(527城)、九州・沖縄(1220城)の9章建て。各地域ごとに概説とコラムを付ける。

 

 「書籍では多くても1000城ぐらい、ウェブでも3000城ほどが上限なので本書の収録数は最大規模です。テレビなどで日本の城ベストなどが紹介され、自分が住んでいる地域の城に興味を持つ人も多い」と担当した編集部・青山哲也氏。

 

 ターゲットは城ファンや旅行好きの40~60代男性と、30~40代の女性を想定。販促の中で「書店さんから近くの城を教えてほしいと聞かれることもあります」(営業本部・中里伸治副本部長)と手応えを得ている。両企画とも3月から書店への販促を開始し受注締め切りは5月7日。

 

書店との関係再構築、年2回のペースで刊行

 

 実用書を中心に刊行してきた同社だが、2年前に編集部企画としてDK社の『科学の実験大図鑑』を刊行。しかし、外商企画の販売ノウハウが乏しく苦戦した。「当社は法人営業が強みなので、逆に店舗規模は小さくても外商力がある書店さんをお訪ねできていませんでした」と冨永裕之専務。そういう書店との関係を再構築しようと大型企画を手がけることにした。

 

 日東書院で大型企画を立ち上げた穂谷竹俊氏を営業顧問に迎え、九州地区の外商書店を中心とした金文会などに働きかけ、春秋の年2回のペースで2~3点を発売することを予定。23年には創業100周年を迎えることから、冨永専務は「大きな企画を売って次の100年につなげていきたい」と意気込みを示している。

 

『BANKSY』

□A4変型判上製オールカラー/240㌻/6月18日取次搬入/新刊委託/本体3500円

 

 

『日本の城辞典』

□A5判上製/672㌻/6月21日取次搬入/4カ月長期委託/予価本体4500円