第3回「警察小説大賞」 直島翔「転がる検事に苔むさず」に決定、次回から賞をリニューアル

2021年4月22日

大賞受賞が決まった直島翔氏

 

 小学館は4月20日、第3回「警察小説大賞」の受賞作を直島翔「転がる検事に苔むさず」に決定した。応募作の中から二度の選考を経て、4点の最終候補作を選出。最終選考会では、相場英雄氏、 長岡弘樹氏、小説雑誌『STORY BOX』編集長・幾野克哉氏が選考委員を務めた。受賞作の単行本は8〜9月に発売する予定。また、賞のリニューアルも決まり、名称を「警察小説新人賞」に改め、作品募集がスタートしている。

 

 「警察小説大賞」は、時代を動かす新たな書き手を発掘し、原作を映画化、コミック化など多面的な展開につなげていくために2017年に開設された新人賞。

 

 第3回「警察小説大賞」を受賞した直島氏は1964年生まれ、新聞社勤務。社会部時代に東京地検など司法を担当した。同氏は受賞作について「警察と検察の間のことを書こうというのが当初のもくろみだった。警官や検事が組んずほぐれつ、どんな顔で、どんな思いで二つの捜査機関の間を行き来しているか──という意識のもとに始めながら、検察にずいぶん傾いてしまった」とコメント。

 

 また、「警察小説大賞という看板を仰ぎ見つつ、『およびでない!』という昭和のギャグを何度も思い浮かべた。選考委員の寛容に感謝したい」と喜びを述べた。

 

賞をフルリニューアル 「警察小説新人賞」に改称

 

 同社担当者は「リニューアルをきっかけに、ジャンルを活性化させる新人を見つけたい」と意気込みを語る。リニューアルの背景について、従来の名称では公募制の新人賞だと認知されにくかったことに加え、「警察小説には専門用語や知識が必要」との先入観が働き、応募の妨げになっていたことを挙げている。

 

 そのうえで、「応募へのハードルが他社のミステリー賞よりも高かったという反省がある。しかし、私たちが求めるのは知識偏重の組織小説ではなく、人と人の魂が触れ合う物語だ。警察を舞台とするエンタメを志向する作品であれば、ライトノベルであろうと、SFであろうと大歓迎だ」と応募を呼びかける。

 

 また、リニューアル後の選考委員は相場氏と長岡氏が続投、新たに月村了衛氏、東山彰良氏が加わり4人となる。同賞の受け皿を大きくしたいというメッセージを込めて、SF要素を盛り込んだ警察小説で知られる月村氏と、あえて「警察小説は全くの門外漢」と述べる直木賞作家の東山氏を選考委員に迎えた。なお、幾野氏は選考委員を外れる。

 

 第1回「警察小説新人賞」の募集期間は来年2月末日まで。警察小説であればホラーやSFなどの要素を持つ作品も対象となる。小説ポータルサイト「小説丸」内の警察小説新人賞ページから応募できる。賞金は300万円。

 

警察小説新人賞(小説丸)サイト=https://shosetsu-maru.com/pr/keisatsu-shosetsu/