児童養護施設へ本を寄付する「JETBOOK作戦」 施設出身者の若者がクラファンプロジェクトを開始

2021年4月27日

JETBOOK作戦の告知ページ

 

 児童養護施設出身の若者たちが中心となり、全国の施設に本を贈るクラウドファンディングプロジェクト「JETBOOK作戦」が、このほどスタートした。

 

 「JETBOOK作戦」は、クラウドファンディングサービス「Ready for」を使って資金を集め、書籍を児童養護施設に配る企画だ。参加者から「これまでで出会った本の中で最高の1冊」を推薦してもらって、一人ひとりの子どもたちへのメッセージと一緒に届けるのが特徴。選んだ「理由」や「想い」をしおりに印刷し、施設に届ける。

 

JETBOOK作戦の仕組み

 

 本は、参加表明をしてくれた全国の児童養護施設ごと、施設がある地域の本屋さんに事務局から注文して施設に届ける。

 

 「1冊ごとに送り主のメッセージがついた形で本が届き、その経験を通じて、子どもたちが自分たちを応援してくれる頼れる大人の存在に気づくこと自体が、貴重な経験」と話すのは、JETBOOK作戦事務局リーダーで大学生の山内ゆなさん。寄付金を集め、本を配るだけでなく、養護施設の子どもたちと、社会との〝かけ橋〟になることも狙う企画となっている。

 

 児童養護施設は全国に約600カ所あるが、書籍購入予算がないところがほとんどで、子どもたちの読む本は寄付などに頼っているのが実状だ。こうした状況を広く世の中に知ってもらうのも、プロジェクトの目的の一つだという。

 

 「私自身、高校2年生で携帯を自分で買うまで、情報を手に入れる手段がとても少なかったように感じている。情報が手に入らないことで、周りの友達は知っていることを、自分だけが知らず、輪に入れなかったりしたこともあった。こうした経験から、施設の子どもたちがいろいろな情報に触れ、新しい発見ができる機会を作りたいと思うようになり、『JETBOOK作戦』を始めた」(山内さん)。

 

 第1弾は、昨年12月に行い、約300人の賛同者から寄付を集めて施設に本を届けた。今回は、規模を拡大し1万人の参加者を募っている。

 

 クラウドファンディングの募集は、5月31日まで。寄付は3000円から受けてつけている。   

 

▽プロジェクトの告知ページhttps://readyfor.jp/projects/JETBOOK

 

【堀鉄彦】