学研プラスが2月に新版を刊行した歴史まんがシリーズ「DVD付き 学研まんが NEW日本の歴史」全12巻が、発売2カ月で3刷30万部と好調な売れ行きだ。新学習指導要領に対応しているほか、新しい必修科目「歴史総合」に合わせた巻頭ページも追加するなど、全体の大幅なアップデートを実施。さらに、各巻30分以上の映像を収録したDVDで、家族みんなが楽しめると好評を博している。
シリーズ累計390万部を達成
同シリーズは、2012年に旧版を刊行。新版と合わせ390万部を達成している。
当初は同社と、もう1社が「歴史まんが」市場を二分していたが、続々と他社も市場に参入してきて「さながら群雄割拠の戦国時代に突入した」と、編集を担当した学研プラス 小中学生事業部図鑑・辞典編集室 エンタメ学びチーム統括編集長・保田和寛氏は語る。
そして、20年度から小・中・高等学校で順次開始されている、新学習指導要領に対応する他社のシリーズも出てくる中で、同社も2年前から改訂を企画し、1年半ほどの制作期間で新版を刊行した。
全体をアップデート
シリーズ全体の総監修は、大河ドラマの時代考証も行う東京学芸大学名誉教授・時代考証学会会長の大石学氏が担当。各巻の監修とともに、新学習指導要領に合わせ、内容や用語を全て見直し、最新のものに更新した。
また、22年から高校の授業で必修科目となる「歴史総合」にも対応した。巻頭に観音開きのページを収録し、各巻で扱う年代に世界では何が起きていたかを、日本と比較しながら学ぶことができる。
オールカラーで豊富に掲載されている、写真資料やまんがもアップデート。特にまんがは、当時と同じ各巻の作家が、8年の間に向上した技術を用いて、納得いってなかった所の修正や、現代的な色使いへの塗り直しなどを行なった。
現代の子どもに合わせた映像
「歴史まんが」史上初の付属DVDには、各巻30分以上の映像が収録されており、保田編集長も今回の一番の目玉と語る。歴史をより深く楽しく学ぶための3つの要素として、ナレーションなどを明るく聴きやすいように再編集した「NHKの資料映像」。
各巻の内容をダイジェストにした「まんがアニメーション」と、アニメや実写でより楽しく学ぶ工夫が施されている「完全オリジナル映像」を収録。さらにDVDには、オリジナルキャラクターのドギーとハニックが全編を通して登場し、視聴者と一緒に歴史を追体験する。
保田編集長はDVDでエンターテイメント性を重視したといい、「現代の子どもは、小さい時からYouTubeを観慣れているので、出来るだけ短尺に、3分や5分でどんどん次のコーナーへ行くようにした」と話す。コーナーも、TVショッピングや、旅行番組のパロディといった、より身近で飽きさせない作りを意識した。
小さな子でも楽しく学べる歴史入門
同社の販売担当は、付属のDVDが読者、書店員共に反響が大きく「家庭で過ごす時間が増えた中で、子どもたちが楽しめる映像がたくさん入っていたことが、時節に合っていた。小学校中学年以上の想定読者だけでなく、その下の兄弟が映像やまんがを喜んで見ているそうで、読者の幅が広がっている」と語る。
保田氏は、「書籍とDVDで情報を補完し合っているので、とても内容が充実している。オールカラーのまんがと映像で、小さな子でもビジュアルで楽しみながら学ぶことができる、まさに歴史の入門としては一番」と自信を見せる。
ネット書店で歴史まんがジャンル1位を取るなど、新版刊行から好調の同シリーズ。同社は今後も販促施策を展開し、さらなる売り伸ばしを図る。
□「DVD付き 学研まんが NEW日本の歴史」=2月16日発売/大石学・監修/A5変・ソフトカバー
▽初回限定5大特典付き全12巻セット:定価13200円▽各巻:定価1100円