政府は4月25日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に適用した。期間は同25日から5月11日までの17日間。大手出版取次の日本出版販売(日販)とトーハンによると、両社のグループ書店を含む取引先書店のうち約300店が休業していることが分かった。
日販によると、4月28日時点で、グループ書店を含む取引書店のうち約130店が休業している。トーハンは4月27日時点で、グループ書店を含む159店が休業したといい、内訳は東京53店、大阪57店、京都18店、兵庫31店となっている。休業した書店は、いずれも緊急事態宣言が解除される5月12日に営業を再開する予定だ。
3度目となる緊急事態宣言の期間中、対象エリアの4都府県では、酒類またはカラオケ設備を提供する遊興施設などに加え、床面積1000平方メートル超(約300坪)の大規模商業施設などに休業を要請している(生活必需品売り場を除く)。
大阪、京都、兵庫では「書店」「古書店」に対して、床面積1000平方メートルを超える場合は休業を要請。それ以下の場合は入場整理や20時までの営業時間短縮、感染防止策の徹底などの協力を依頼している。
東京は「書店」を除外、自治体で判断が分かれる
東京でも「古書店」は休業施設の対象としているが、社会生活を維持するうえで必要な施設にあたるとして「書店」を休業要請、休業の協力依頼の対象から除外し、自治体で判断が分かれた。
入居する百貨店など、大型商業施設の休業が大きく影響
緊急事態宣言下にある大阪の書店は「昨年は、大阪府が図書カード配布事業を推進してくれて、店頭が潤った時期もあったが、今年はそれもないので、非常に苦しい」と窮状を訴えている。
大阪府書店商業組合に加盟する約200店のうち、書店のみで1000平方メートル超の店舗は十数店と、全体の1割にも満たない。しかし、大型商業施設のテナントとして入居する多くの書店は休業を余儀なくされている。 また、大型施設や飲食店の休業で、人通りが少なく、売上への影響は大きいという。
「メディア」「図書館」は休業要請の対象外に
このほか、いずれの都府県でも「メディア」「図書館」は休業要請の対象とせず、適切な入場整理と感染防止策の徹底を求めるにとどめた。しかし、一部の図書館では、臨時休館や一部サービスの制限などを行っている。