世界思想社『子どもたちがつくる町』 貧困地域の子供支援を書籍化

2021年5月10日

□A5判/272㌻/定価2750円

 

 世界思想社教学社(京都市・上原寿明社長)は5月5日、「日雇い労働者の町」と呼ばれる大阪・西成での子育て支援の姿を、地元インタビューをもとにまとめた『子どもたちがつくる町 大阪・西成の子育て支援』(村上靖彦)を発刊した。

 

 著者の大阪大学人間科学研究科・村上教授は、現象学の観点から西成をフィールドに子ども支援の実践を調査してきた。

 

 本書では、この貧困地域でコミュニティづくりを実践する個性的な支援者5人へのインタビューをもとに、貧困や家庭での葛藤によって多くの困難を強いられる子どもたちを、地域で育てる支援者同士の自発的な連携がどのように形づくられたのかを、支援者たちの目や経験を通して、内側からその構造を描き出す。

 

 各章で、居場所づくりや保育、こども食堂、助産師による母子訪問ほか、さまざまな支援の形を取り上げており、他地域でもヒントになりそうだ。

 

 同社編集部の高橋克典さんは「学校の先生や行政、子ども支援に携わる人、SDGsや子どもの貧困、町づくりに関心のある人に薦めたい。書店では、社会福祉、児童福祉のほか、社会問題やノンフィクションなど、各書店で力を入れている文脈から展開してほしい」と推奨する。関西地区では「西成本」の類書との展開も興味をひきそうだ。

【櫻井俊宏】