新潟日報会の令和3年度総会は5月11日、新潟市のANAクラウンプラザホテル新潟で開かれ、新聞販売店主、発行本社経営幹部らが出席した。役員改選で会長職を6年務めた樋口滋氏(五泉)が退任し、新会長に木戸信輔氏(加茂)が就任した。木戸新会長は「地域密着、地産地消のかけ声を具体化できるのがNIC(新潟日報販売店)だ。そういった活動を積極的に行うことがこれからの使命」と呼びかけた。(写真などは新潟日報社提供)
総会の冒頭、樋口会長があいさつ。これから10年を見据えていく重要性を示したうえで、「各店で課題を一つずつ設けて、具体的な動きに着手してもらいたい。新聞が増えないのであれば、創意工夫で経営改善をしていかなければならない。経費削減、コストカットも重要だ。ウイルス対策もあり、自店では自振率の拡大に努めた。これも経営改善の一つの工夫」などと語った。
役員選出後、木戸新会長があいさつ。「私たちNICグループの強みとは何か。一つは情報発信力、それに宅配力もある。何より素晴らしいのは新潟日報というブランド力と信頼力も併せ持っていることだ」と強調。「これらを総合的に活用することで、総合配達業へと進化・発展させていくことは可能だと確信している」と訴えた。
具体的に、「ウイルス禍や高齢化によって困っている生産者や商店がたくさん存在する。一方、いわゆる買い物難民も増えてきているという。私たちはその仲介に立つことによって、さまざまな層の助けになることが可能となる」と話したうえで、自店の取り組みを紹介した。
「気持ち、発想の転換が重要」
発行本社側のあいさつで、まず小田社長が登壇し、今後の方針や取り組みについて説明(要旨は別項)。続いて、吉倉久一朗取締役読者担当が「先代が築いてくれた県民読者からの信頼、基盤の中で仕事をしていることに感謝しながら、前向きな姿勢を保っていく1年にしたい」とあいさつ。
「気持ちの転換をどうやっていくかが勝負。発想の転換がこれから生き延びていくうえで重要」と具体策を示し、「原点回帰、未来読者対策、宅配網の付加価値の3点を、改めて胸に刻みながら、皆さんと一緒になって仕事をしていく」と呼びかけた。
石垣裕読者局長もあいさつ。読者だけでなくNICで働くスタッフも「NICと新潟日報社の共有財産だ」としたうえで、「去年はウイルス禍のため、通常業務と経営を守るのに手一杯で、労務充足や休日体制強化まで力が回らなかったかもしれない。今年こそ多少余裕のある労務体制に整備し直して、スタッフが安心して長く働ける環境づくりを進めてもらいたい」と要請。
「読者のため、地域のため、日報ブランドの信用維持のためと心を強く持って、スタッフの育成・指導に尽力してほしい」と求めた。
小田社長あいさつ(要旨) 変革期には原点に帰る
新型コロナウイルス禍の状況をどうやって乗り切るか。キーワードは、大きな改革の時期=ビッグチェンジの時期は大きなチャンスとなる、ということだ。
2年後には当社は源流145年・創刊80周年を迎える。どうやってこの時代を乗り切るのか。デジタルの取り組みを少しでも早め、一方で紙の減少の速度はできるだけ遅くする。この両方のあんばいを見ていかなければならない。
こういう大きな変革期にはもう一回、原点に帰ることが大事ではないか。それは部数にこだわることだ。アランの幸福論に出てくるが、楽観論というのは意志の力だ。強い意志を持って楽観的にあたらないといけない。
今、流行の言葉でDX(デジタルトランスフォーメーション)がある。デジタル化時代に対応するための企業変革のことだが、社内で私はこのことを「泥臭い」と訳す。やはり新聞業界のDX、新潟日報のDXは、やるべきことを泥臭くやり遂げることだ。今まで積み上げてきたものを、組み直して強みに変えていく。
新潟日報は紙とデジタル、電子版を充実させることを大きな柱にした。当社のデジタル政策は「紙withデジタル」で、紙の価値を活かすためのデジタルだ。6月から今の電子版をとても読みやすく変える。
最後に、発行本社と日報会、NICの皆さんとは心の距離は三密でいきたい。三密というのは親密であり、緊密であり、濃密である。この三密を保ち、この新型コロナの苦境を一緒に乗り切っていきたい。