朝日新聞社が購読料改定 7月1日から月ぎめ4400円、長年の経営努力限界に

2021年6月10日

 朝日新聞社は6月10日付朝刊で、本紙の購読料を7月1日から改定すると発表した。月ぎめ購読料(消費税込み)は朝夕刊セット版で4037円から4400円、統合版は3093円から3500円となる。消費税を除く本体価格の改定は1993(平成5)年12月以来、27年7カ月ぶりとなる。


 新聞製作の合理化、人件費や経費の節減に努めることで、朝日新聞社は長年、購読料を据え置いてきた。しかし、インターネットの普及で新聞事業を取り巻く環境が厳しさを増し、販売・広告収入が減る一方、製作コストは高くなっている。新聞業界全体が同じような状況で、全国の多くの新聞社が購読料をすでに見直している。新型コロナウイルス禍の影響もあり、朝日新聞社は長年の経営努力が限界に達したと判断し、価格改定を決めた。

 

新たな企画、続々と登場


 紙面では新しい企画を続々と登場させている。生物学者の福岡伸一さんによる連載小説「福岡伸一の新・ドリトル先生物語 ドリトル先生ガラパゴスを救う」が4月に始まった。5月からは、ニュースの深層に迫る企画「フカボリ」を掲載している。「天声人語」を題材に学びを深めるコーナーも月2回、掲載する。サービスもさらに拡充する。

 

 10月からは、本紙の購読者が「朝日ID」に登録すると、朝日新聞デジタルの「紙面ビューアー」を無料で利用できる。スマートフォンやパソコンで紙面と同じレイアウトの記事が読める。朝日IDの登録で、その他の様々なサービスも便利に受けられる。


 朝刊の1部売りは160円(現行150円)、夕刊の1部売りは60円(現行50円)とする。


 朝日新聞社は「読者のみなさまにご負担をお願いするのは誠に心苦しい限りです。みなさまのお役に一層立てるよう、紙面づくりに全力を尽くします。ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています。事実を正確に報じるという報道機関の使命を肝に銘じ、新聞を広げるのを楽しみにお待ちいただけるよう、内容とサービスを一層充実させてまいります」と理解を求めている。