誠文堂新光社 笑本おかしばなしシリーズ第二弾 『おおきなかぶ~』 ノベルティで話題を喚起

2021年6月22日

「笑本おかしばなし」シリーズの第二弾『おおきなかぶ~』

 

 誠文堂新光社は7月16日取次搬入で、『珍遊記』(集英社)などで知られる「漫☆画太郎」氏の絵本作家名義「ガタロー☆マン」による「笑本( えほん) おかしばなし」シリーズの第二弾『おおきなかぶ~』を初版3万部で刊行する。昨年12月に刊行した第一弾『ももたろう』が、現在7刷7万部に達し、今回でシリーズ累計10万部に到達する。

 

人気声優読み聞かせ音声を付録

インパクトのある「ねずみ」の登場シーン

 

 第一弾の初版限定特典として付与した人気声優・杉田智和氏の朗読音声に続き、第二弾も数量限定で、同じく杉田氏と今回は新たに声優の竹達彩奈氏を起用した音声付録を特典として付ける。男女の声優を採用することで、両親が読み聞かせをするイメージを強く打ち出す意向だ。

 

 さらに特設サイトやプロモーション動画のほか、同社が発行する園芸季刊誌「農耕と園芸」とのコラボレーショングッズ「小カブのタネ」を書店用の読者向けノベルティとして用意する。人気声優による音声付録、ユニークなノベルティなどバラエティに富んだ読者サービスは、前作『ももたろう』から続くプロモーション戦略だ。

 

 前作ではステッカーや缶バッジなどを読者ノベルティとして提供。その意図について同社・営業部販売促進課の楠本徹課長は「ガタロー先生の絵本作品だけでなく、音声付録やその他ノベルティを含め、パッケージとしてのコンテンツを楽しんでもらいたい。そうすることで話題となり、本も同時に売れる相乗効果がある。本が売れない時代と言われて久しいが、アイデア次第で売り伸ばしもできる」と同シリーズの手応えを語る。

 

消化率70%返品10%の背景

『ももたろう』を展開する未来屋書店大垣店

 

 前作『ももたろう』は、現在も毎月1万部単位で増刷を繰り返し、書店店頭では消化率70%、返品率10%と好調だ。その背景にあるのは、発売当初に購入していた層から、現在購入している層に、大きくスライドしたことによる。

 

 同社は前作の発売前から発売時にかけ、SNSやWEBを中心に、漫☆画太郎ファンやサブカル、コミック好きなど30~40代の男性層をターゲットにプロモーションを展開。杉田氏の音声付録も同氏のファンをはじめ、多くのSNSユーザーが取り上げるなど、発売前後で盛り上がりを見せた。SNSなどで話題になったことでパブリシティも増加した。

 

 またネット書店でも高評価や好意的なレビューが多数寄せられ、同社はその反響を受け、SNS上で「読み聞かせコンテスト」などを実施。徐々に「絵本」として浸透し、1月末に「あさイチ」( NHK ) で紹介されたのを機に大きく潮目が変わり、「漫☆画太郎」作品としてではなく、母親層を中心とした30~40代女性に、「絵本」として広く認知されるに至った。 

 

 同時に書店店頭でも、児童書、絵本として展開する書店が増加し、現在では未来屋書店が主催する、同書店の児童書担当者らが選出する「未来屋えほん大賞」にもノミネートされている。

 

 今回の第二弾もコミックだけでなく、児童書として展開する書店も多く、着実に「絵本」としての販路を拡大している。楠本課長は「漫☆画太郎ファンは購買層として安定はしている。一方で児童書、絵本としてクオリティも高く、認知はされているが、まだ開拓の余地はある。そこをさらに広げていきたい」と意欲を示す。

 

□『おおきなかぶ~』= 縦240㍉×横210㍉ /52㌻/定価1320円