雑協・次世代会議 「まちの本屋」応援キャンペーン、書店から雑誌の活性化イベント募集

2021年6月25日

 日本雑誌協会(雑協)の次世代雑誌販売戦略会議(次世代会議)はこのほど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて「とって置きキャンペーン」「お楽しみ袋」の中止を決めた。その代替企画として、次世代会議は店頭配布用の図書カード(500円分)を6000~1万枚用意し、「まちの本屋」の応援キャンペーンにあてる予定だ。現段階で詳細は未定としているが、10月1日の実施に向けて動き始めている。

 

コロナ禍で中止に、「とって置きキャンペーン」「お楽しみ袋」

 

 中止が決まった「とって置きキャンペーン」は期間中に対象となる雑誌を5号連続で購入した読者に図書カードをプレゼントする店頭活性化企画。

 

 今年度の実施について書店に電話でヒアリングをしたところ、約4割超が「コロナ禍の今、レジでスタンプカードをやりとりするのは来店客が嫌がるかもしれない」などの理由をあげて、キャンペーンに参加できないと回答した。次世代会議はそうした書店員の意見を踏まえ、今年度の実施を見送った。


 また、「本の福袋」としての実証実験を経て、規模および商品ラインナップを拡大した「お楽しみ袋」は、新型コロナウイルスの影響を受けて昨年度も当初の予定を延期し、実施時期を検討していたが、先行きが不透明なことから正式に中止を決めた。

 

井上議長「次世代会議の予算、書店の応援に活用」

 

 代替企画として実施する「まちの本屋」の応援キャンペーンでは、雑誌を活性化させる「ディスプレイコンクール」や「フェア」などの計画案を書店から募り、イベントの実施書店に店頭配布用の図書カードを送付する。


 雑誌を活性化するイベント案の内容は書店が自由に提案できる。細かな条件は設けず、書店のアイデアを幅広く募集するキャンペーンとする予定だ。


 図書カードの購入費用は、昨年度の次世代会議で未使用だった予算をあてる。次世代会議の井上直議長(ダイヤモンド社)は「コロナ禍で使えなかった次世代会議の全予算を書店の応援に活用するキャンペーンとなっている。厳しい中でも書店で雑誌を購入してくれる読者に還元する企画になってほしい」と期待を込めた。


 現時点で500円分の図書カード6000枚を購入しているが、「とって置きキャンペーン」が中止となったことから次世代会議は今年度の予算も活用し、購入枚数を1万枚に上乗せすることを検討している。


 参加を希望する書店は期日までにイベント案を雑協へ提出する。次世代会議がイベント内容を精査し、店舗の規模などに応じて実施日までに配布用の図書カードを送る。


 キャンペーン参加の必須条件は開催したイベントの模様を撮影し、写真を雑協に送付できること。割り当てられた図書カードをどのように活用するかは書店の裁量に委ねるとしている。


 書店でのイベント実施日は今年10月1日以降を予定し、イベント案の募集はそれまでに開始する。雑協のホームページに申し込みフォームを設置するほか、Twitterアカウントなどで書店に参加を呼びかける。

 

雑協6月理事会を開催

 

 このほか、雑協は6月16日に理事会を開催。会員社の退会ではシンコーミュージック・エンタテイメントと枻出版社が退会。賛助会員にインテージテクノスフィアが入会した。


 また、2022年「第67回定時総会」の日程について、来年5月31日に東京・文京区の東京ドームホテルで開催すると暫定的に決定した。会場開催となるかは新型コロナウイルス感染拡大の状況次第だとしている。


 このほか、3月9日から5月4日にかけて開催したFIPP「DIS2021」の報告書を配布した。今年のDIS(デジタル・イノベーターズ・サミット)は2週間に1回1時間のオンラインセミナーを開催し、計5回実施した。発表は英語のみ。主催国のヨーロッパを中心にプログラムが組み立てられているため、日本時間の深夜に開催された。


 どのスピーカーもパンデミックの影響が職場やビジネスにどのような変化をもたらしているのか、もしくは与えるのかを考察、ポスト・コロナ時代へ向けたメディア業界の予想図を披露した。日本の出版業界の現状と世界に大きな乖離はないが、パンデミックがもたらした変化を新しいビジネスチャンスとして捉えようとする前向きな姿勢が目立った。