日本雑誌協会(雑協)と日本雑誌広告協会はビデオリサーチの協力のもと、雑誌広告効果測定調査「新M-VALUEプレ調査」を実施したと8月25日に発表した。
両協会では、「雑誌広告効果測定調査M-VALUE」を2013年から19年まで実施。20年に従来の「雑誌広告調査」から「雑誌+デジタル広告調査」への転換を図るため、プロジェクト体制の改編とともに、「新M-VALUE」として、調査アウトラインの再設計に着手した。
M-VALUEプロジェクトが調査スキームの再構築を始めた背景として、両協会は「時代の変化に伴い、雑誌メディアが単体の広告効果だけでなく、そのメディアブランドとコンテンツ価値が、Web・モバイル・SNS・電子雑誌などに転換されたとしても広告効果として反映されるのか、雑誌読者をコアにしてどれだけ拡がっていくのかが求められている」と挙げている。
今回の「新M-VALUEプレ調査」は、出版社6社(講談社、光文社、小学館、集英社、文藝春秋、マガジンハウス)、広告会社3社(電通、博報堂DYメディアパートナーズ、ADKマーケティング・ソリューションズ)による共同プロジェクトとして、20年11月から21年3月にかけて、各出版社の本誌とデジタルメディア(計10ビークル)を対象に調査手法の開発と実査を行った。いずれも出版業界において初めての取り組み。
調査結果は今後メディアデータとして公開するほか、蓄積されたノウハウは、各方面でのメディア研究の場で活用していく予定。その第一歩として、両協会は9月7日、日本アドバタイザーズ協会(JAA)と共催でオンラインセミナー『DXで進化する雑誌メディア広告の真価を探る~次世代効果測定「新M‐VALUE」のこれから~』を開催した。
新M‐VALUE調査では、全体戦略を担う「コアワーキンググループ」と「調査設計チーム」の2チームに分けて再構成された。デジタル広告の測定においては、アンケートに加えて、アクセスログの分析を行い、それぞれのメディアで十分な調査環境を整えるため、雑誌のみと、雑誌とウェブメディアの二度のタイミングに分けて調査を実施した。
また、ウェブメディア横断調査の実現のため、共通基盤として、トレジャーデータのインフラを活用。各ウェブメディアにおける読者の行動履歴を抽出し、広告会社3社のDMPで取得IDを識別し、データ連携を行う。今回はプレ調査だが、次回以降の本調査に向けて調査手法と調査結果を検証する。
20年11~12月実施の「Part1:本誌のみの調査」と、21年1~3月実施の「Part2:本誌+ウェブメディア調査」の2部構成で調査。Part1調査では、QRコードが入った4色1ページのアンケート回答者募集広告を共通で掲載するとともに、メールマガジンなどによる誘導も実施する。公募で得た調査パネルとともに、ビデオリサーチが保有する調査パネルを活用する、2系列による母集団を形成。
Part2調査は、21年1月から調査を開始し、こちらは「本誌+ウェブメディア」を対象とし、計7ビークル(3雑誌/4ウェブメディア)にて実施。Part1同様、回答者を公募(ウェブメディアの場合は調査媒体のディスプレイ広告に掲示)するとともに、ビデオリサーチ保有の調査パネルを併用して行った。
調査対象ビークルはPart1が「with」(講談社)、「週刊現代」(同)、「週刊文春」(文藝春秋)。Part2が「美ST.ONLINE」(光文社)、「美的」(小学館)、「美的.com」(同)、「BRUTUS」(マガジンハウス)、「MAQUIA」(集英社)、「マキアオンライン」(集英社)、「mi-mollet」(講談社)。
オンライン調査については試験的に、トレジャーID(グローバルTDID)と連携する共通計測タグを導入。複数のDMP間でデジタル行動を識別しながら、対象ビークル単位で行動特性の計測を実現する。