河出書房新社は、10月7日発売の期間文芸誌『文藝』冬季号から電子版の配信を開始する。主要な純文学系文芸誌では紙と電子による定期刊行は初めてと見られる。また、今年で創刊88周年を迎える同誌にとっても新たな試みとなる。
創刊88周年企画である電子版配信開始にあたって、同誌編集長の坂上陽子氏は「最高におもしろいと思える原稿を、どう見せるか、どう届けていくか、ということを、この88年間、代々の編集部が試行錯誤してきたが、今後はさらに、電子版も含めた形で考えていきたいと思う」とコメントした。
電子版配信開始を記念して、同社は10月7日から20日までの2週間、対象の電子書籍ストアで同社が刊行する小説・文芸作品約500タイトルがポイント還元対象となるキャンペーンを開催。ベストセラーになっている注目作品や芥川賞受賞作も対象となる。
キャンペーンの対象ストアはAmazon Kindleストア、紀伊國屋書店Kinoppy、Sony Reader Store、BOOK☆WALKER、ブックパス、honto、楽天Koboの7ストア。各ストアで20〜30%のポイント還元が行われ、ポイント還元率はストアによって異なる。また、楽天Koboのみ10月13日開始。
また、同誌冬季号では、過去最多となった昨年実績を大きく上回る応募総数2459作の中から選ばれた、第58回文藝賞の受賞作、澤大知(さわ・だいち)「眼球達磨式(がんきゅうだるましき)」を全文掲載。磯崎憲一郎・島本理生・穂村弘・村田沙耶香の各選考委員の選評および、受賞者と村田氏の対談も掲載する。