電子出版取次のモバイルブック・ジェーピー(MBJ)は10月19日、本と本のつながりを広げる「連想検索システム 知の泉」を開発し、同社が運営する電子書店「どこでも読書」で実証実験をスタートした。同システムは小説やビジネス書など、文字を中心とした電子書籍を主な対象とした「連想検索」機能。国立情報学研究所との共同研究の成果を活用して開発された。
同社は市場拡大中の電子書籍に関して、休眠作品を読者に訴求する機会を増やし、収益の拡大を目的として、新たな検索手法によるレコメンドモデルの研究を進めてきた。その取り組みの中で、今回開発された「連想検索」機能は、システム上で設定した書籍ごとの「特徴点」(文章中の複数の単語)と検索元(検索語や本の内容)の一致状況をもとに、類似する本を探し出す技術。利用者が思いついた自由な文章も検索語として利用できる。
従来の書籍検索システムは、作品名・著者名・出版社名・ジャンル名・紹介文を主な検索対象とし、欲しい本の確認などに利用されていた。また、キーワード検索機能はキーワードを書誌データに事前登録する必要があり、すべての書籍で利用するのは困難だった。同システムでは書籍の「本文(内容)」からキーワードを拾っているため、データ登録の手間がかからず、精度の高い検索を実現している。
「連想検索」の利用によって検索の幅が広がり、目的の本に到達する時間と手間を圧縮できるほか、ジャンルを超えた意外な本、思わぬ本と出会うチャンスを提供する。また、今まで訴求機会が少なかった既刊の“ロングテール作品”の活性化にもつながる。
10月19日に開始した電子書店「どこでも読書」における実証実験では、リフロー型の「文字中心の電子書籍」を検索対象として、「連想検索システム 知の泉」の機能を5つ実装した。連想検索に加えて関連ワードや関連本の表示、閲覧履歴や気になるワードから検索でおすすめ本が表示される機能が導入された。
同社は実証実験の成果を通じて、検索精度の向上、UIとUXの強化、最新のシステム実装技術を追求する。そのほか、プラットフォームサービスの一環として他の電子書店等での活用も推進していく。