メディアドゥの藤田恭嗣代表取締役社長CEOは10月14日に開いた2021年第2四半期決算説明会で、10月12日に開設したNFTマーケットプレイス「FanTop」について説明したほか、電子図書館サービス「OverDrive Japan」の導入館が増えていることや、グループ化した日本文芸社の業績が好調に推移していることなどを発表した。
同社の2021年第2四半期(21年3月1日~8月31日)連結業績は、売上高552億3300万円、前年同期比32・3%増、営業利益16億8800万円、同10・3%増、経常利益16億8300万円、同6・3%増と増収増益で、のれんの減損処理により親会社株主に帰属する四半期純利益は8億3600万円、同8・1%減となった。
説明会で藤田社長CEOはNFTマーケットプレイス「FanTop」に時間を割いて説明。「FanTop」は一般的に高額の商材の取引に利用されるNFTマーケットプレイスとは違い、低価格のコンテンツを扱い、一般の多くの人々が利用するものを目指すと話した。
電子から“出版業界”のメディアドゥに
さらに、「当社は電子書籍のメディアドゥから出版業界のメディアドゥに進化していかなければならない。リアルの流通、書店にも貢献することを模索したい」と述べ、大手出版取次会社のトーハンと提携して販売を開始したNFT特典付き出版物についても言及。デジタル付録を付けることで出版物の価格を引き上げることができることから、書店の経営改善につながるとの考えを示した。
また、書店でNFT特典付き出版物を購入したお客が特典を所有するために「FanTop」の会員になることで、「デジタルにリアル店舗の顧客に入ってきてもらう他にない取り組み」で、デジタルコンテンツ市場の活性化にも結びつくと述べた。
電子書籍流通事業については、公共図書館・学校図書館への営業力があるトーハンとの提携によって、傘下の電子図書館サービス「OverDrive Japan」の導入が前年比2倍を上回るペースで進んでいると説明。
投稿サイトを運営するエブリスタを買収したことについては、「世界のコンテンツビジネスでは原作の価値が向上してグローバル化や大資本の参入が進んでいる。コンテンツを集めてグループ出版社から出版、マンガ、ウェブトゥーンなどより多くの出口で出していく」と述べた。
今春傘下に入った出版社の日本文芸社については、売上、利益ともにプラスで推移していると報告。18年度は赤字だった業績が、20年度は2億円を超える利益を計上し、今年上期は営業利益が41・5%増で推移。「同社のコンテンツの利用価値が上がっている。積極的に連携して売上・利益をあげていきたい」と述べた。