毎日新聞出版『最後の一年』 毎日新聞・運動部記者が迫った連載が本に

2021年10月27日

 新型コロナウイルスの感染拡大で日常からスポーツが消えた時、高校や大学などの最終学年のアスリートたちは、何を思い、考え、どう行動したのか―。彼らの胸中に毎日新聞の運動部記者たちが迫った長期連載をまとめた『最後の一年 緊急事態宣言―学生アスリートたちの闘い』が10月11日、毎日新聞出版から発売された。

 

四六判/320㌻/定価1980円

 

 連載「#最後の1年」は、昨年5月から今年4月まで、毎日新聞の紙面とニュースサイト「毎日新聞デジタル」に90本近く掲載された。

 

 新型コロナの影響で、母校の大学ラグビー部の活動が中止になったと知った入社7年目の運動部記者が、「活動が止まった学生スポーツの現場の切実な思いを描きたい」と、部内にチャットアプリで投げかけたのがきっかけだった。

 

 スポーツの「現場」が消え、在宅勤務を呼びかけられた運動部記者たちも「この状況で何が書けるか」を試されていた。オンラインなどによる試行錯誤しながらの取材は、「スポーツとは何か」の原点に立ち戻る機会にもなったという。

 

 同書では、反響の大きかった記事を中心に、新たに取材した内容も加え、季節ごとに5章にまとめた。

 

 東大アメリカンフットボール部、天理大ラグビー部、創価大陸上競技部駅伝部、高知県立室戸高野球部、佐賀女子高ソフトボール部、青森県立五戸高サッカー部、筑波大付属視覚特別支援学校フロアバレーボール部、ドッジボールの少年団「高階イーグルファイターズ」など、登場する校種、競技は多岐にわたる。

 

 毎日新聞東京本社の藤野智成・運動部長は「選手たちは限られた環境の中で何ができるか、苦悩、無念、焦りを克服し、困難に立ち向かっていった。ぜひ多くの人に読んでほしい」と話している。