第43回「サントリー学芸賞」 『欧州の排外主義とナショナリズム』『ロヒンギャ危機』など受賞

2021年11月17日

 公益財団法人サントリー文化財団は11月11日、第43回「サントリー学芸賞」の受賞者を発表した。政治・経済部門では中井遼『欧州の排外主義とナショナリズム』(新泉社)、中西嘉宏『ロヒンギャ危機』(中央公論新社)が選ばれ、4部門で計8人が選ばれた。受賞者には正賞の楯と副賞300万円が贈呈される。贈呈式は12月21日に東京で開かれる。

 

 

 

 同賞は「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分かれ、前年1月以降に出版された著作物を対象に選考し、広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究、評論活動を行った人に贈られる学術賞。1979年の創設以来、受賞者の数は今年度を含め362人となった。

 

 個性豊かで将来が期待される新進の評論家、研究者であることや、本人の思想、主張が明確な作品であることを中心に、一連の著作活動の業績を総合して選考が行われる。今年度は2回にわたる選考委員会での審議を経て、受賞者および作品を決定した。

 

 受賞者および対象作品は以下のとおり。

 

受賞者および対象作品

 

〈政治・経済部門〉

中井遼(北九州市立大学法学部准教授)

『欧州の排外主義とナショナリズム――調査から見る世論の本質』(新泉社)

 

中西嘉宏(京都大学東南アジア地域研究研究所准教授)

『ロヒンギャ危機――「民族浄化」の真相』(中央公論新社)

 

〈芸術・文学部門〉

川瀬慈(国立民族学博物館人類基礎理論研究部准教授)

『エチオピア高原の吟遊詩人――うたに生きる者たち』(音楽之友社)

 

堀井一摩(早稲田大学、津田塾大学等非常勤講師)

『国民国家と不気味なもの――日露戦後文学の〈うち〉なる他者像』(新曜社)

 

〈社会・風俗部門〉

小島庸平(東京大学大学院経済学研究科准教授)

『サラ金の歴史――消費者金融と日本社会』(中央公論新社)

 

竹倉史人(人類学者/独立研究者)

『土偶を読む――130年間解かれなかった縄文神話の謎』(晶文社)

 

〈思想・歴史部門〉

上村剛(日本学術振興会特別研究員)

『権力分立論の誕生――ブリテン帝国の『法の精神』受容』(岩波書店)

 

北村陽子(名古屋大学大学院人文学研究科准教授)

『戦争障害者の社会史――20世紀ドイツの経験と福祉国家』(名古屋大学出版会)