毎日新聞社と朝鮮日報社が創設し、東アジア地域の環境保全などに貢献した人や団体に贈られる第27回「日韓(韓日)国際環境賞」が決定し、東京とソウルで表彰式が開かれた。日本側はNPO法人自伐型林業推進協会、韓国側は玄眞旿(ヒョン・ジンオ)北東アジア生物多様性研究所所長が受賞し、丸山昌宏毎日新聞社社長と方相勲(バンサンフン)朝鮮日報社社長から賞金と記念品が贈られた。表彰式は例年、日本と韓国のいずれかで合同で開かれてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、昨年に引き続き、それぞれの国で開催。両社の社長は、ビデオメッセージを送りあった。
日本側で受賞した自伐型林業推進協会は、「小さな林業」の普及を進め、林業を本来あるべき姿に転換させる広域ネットワークの構築を目指している。長年培った実践理論に基づき、200年先の山林の姿を見据え、「良質の材をじっくり育て上げていく林業」を広めてきた。
丸山社長は10月28日に毎日新聞東京本社で開かれた表彰式で、「自伐型林業推進協会は、日本古来の伝統的な林業技術の普及、拡大に尽力してきた。幅の狭い林道を整備して間伐を行い、良木を太く育てる技術は、大規模伐採が行われた山林とは異なり、地道な山造りによって土砂災害を未然に防ぐ効果も期待されている」と実績をたたえた。自伐型林業推進協会の中嶋健造代表理事は「戦後、欧米型の林業が広がり、土砂災害などのリスクが顕在化してきた。自伐型林業をどうやって国の政策につなげていけるかが今後の課題。木が残り、土砂流出を防止できる林業を広めたい」と喜びの言葉を述べた。
日韓国際環境賞は、日韓国交正常化30周年の1995年、朝鮮日報社と毎日新聞社が共同で創設し、以来、多くの団体・個人の功績をたたえてきた。