書店新風会 第56回新風賞は『スマホ脳』に 新潮社が2年連続受賞

2021年12月13日

 全国の主要な地方書店で構成する書店新風会(大垣守弘会長・大垣書店)は12月10日、第56回新風賞が『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮社)に決定したことを発表した。新潮社の同賞受賞は7回目。同賞を2年連続で受賞した出版社は新潮社が初めて。

 

 

 会員書店の書店員608名が1人3冊ずつ推薦する本を投票し、11月22日の役員会で審議して選出した。得票数から『スマホ脳』を推す声があり、異論なく決定した。

 

 新風会では「教科書のデジタル化」について、教科書を供給する書店の立場から、文部科学省にも意見を提出。子どもたちが手にする教科書がデジタル化された場合、子どもたちの身体、脳に与える影響についての議論が置き去りにされたまま推進されていることへの危惧を示していたことから、同書の内容には発売当初から注目していたという。

 

 また、昨年は『鬼滅の刃』が受賞した特別賞についての議論も行われたが、該当なしとなった。

 

 新潮社は第2回同賞を『華岡青洲の妻』、第7回を『恍惚の人』、第38回を『バカの壁』、第41回を『ローマ人の物語』、第44回を『1Q84』、第55回を『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で受賞している。

 

 新風賞は、「時代の思想・潮流を先覚し、斬新な出版活動によって、読者に感銘を与え、書店店頭活性化に貢献した出版物(編著者・出版社)・団体・個人を対象に、これを顕彰するため」に設立。同会に所属する書店30社の全従業員が推薦権を持ち、各店舗で販売に直接かかわる現場スタッフが感じた実感から投票を行う。第1回は『氷点』(三浦綾子著、朝日新聞出版)(1967年)が受賞した。