集英社は12月8日、経済思想家・斎藤幸平⽒による集英社新書『⼈新世の「資本論」』が、このほど「アジア・ブックアワード 2021」の年間最優秀図書賞(⼀般書部⾨)を受賞したと発表した。
「アジア・ブックアワード」(Asia Book Awards)は、韓国の487出版社でつくる「韓国出版人会議」が主催となり、アジア各国の出版人が手を取り合い、アジア地域の出版文化をより豊かにしていくことを目的にスタートした事業。現代社会の変化を捉える一般書部門と、アジアをテーマにした人文学術書部門があり、各部門で2作品が「年間最優秀図書」(Best Asian Books of the Year) として選ばれる。
日本、中国、韓国、香港、台湾から10名の出版人が選考委員として最終選考会に参加し、受賞作を決定。第一回にあたる今年は、同書のほか中国、香港、台湾の各1作品が「年間最優秀図書賞」に輝いた。贈賞式はコロナ禍を考慮して中止となったが、公式サイトで受賞者の所感と選考理由を見ることができる。
受賞を受けて、著者の斎藤幸平氏(大阪市立大学准教授)は「気候変動という人類共通の課題に立ち向かわなくてはならない今、現状のシステムをどう変えていくのかの議論を深めていくことが非常に重要なので、この受賞が、そのきっかけになることを願っている」とコメントを発表。
20年9⽉17日に発売された『人新世の「資本論」』は、日本国内で40万部を突破。21年10月に韓国語版が刊行され、この後もアジアをはじめ、世界各国の言語で翻訳刊行される予定だ。
集英社は授与される賞金500万ウォン(約50万円)を認定NPO法人「気候ネットワーク」に寄付する。
『人新世の「資本論」』=新書版/384ページ/定価1,122円/ISBN978-4-08-721135-1