文献社(本社:岐阜県羽島郡)は、1991 年から書店向けPOS レジ機器を製作している。書店マネジメント支援システムの実績を活かしつつ、約2年前からセルフPOS の開発に乗り出した。まず手がけたのは、売上登録は店舗スタッフが行い、支払は来店客が行うセミセルフ式。宮下恒昭システム営業部長は「書店にとって、導入しやすいのはこの方式ではないかと思いました」と語る。
ちなみに、文献社のセミセルフPOS が最初に導入されたのは書店併設のカフェコーナーだった。客が支払いを行っている間にスタッフは注文を受けた商品を準備することができ、よりスムーズなやりとりを可能とした。続けて、売上登録の段階から来店客が行うフルセルフPOS も製作。現在は有人式の標準POS、対面式セミセルフPOS(つり銭機付)、フルセルフPOS(つり銭機付)、セルフ精算式セミセルフPOS(精算機1台)、セルフ精算式セミセルフPOS(精算機2台)というラインナップを展開している。リース月額料金(税別)は、対面式セミセルフレジ25000 円より、書店ワンダーレジ38800 円より(5年リース、設定設置等初期費・機器保守費等別途)。
宮下部長によると、モニター画面の機能キーの配置が工夫のしどころ。スタッフが使用するにせよ来店客が使用するにせよ、必要なキーをひとつの画面にどう配置して「簡単でわかりやすい」物にするのか。その結果、フルセルフPOS では縦型モニターを採用。コマンドに沿って進めていく形が整っている。
「簡単でわかりやすい」操作性を追求した、最新型がAI 搭載ワンダーレジ。サインポスト社開発の「ワンダーレジ」を採用し、購入する本を商品台の上に置いてバーコードを読み取らせ、売上処理を行う。バーコードが重ならないように留意する必要はあるが、複数の商品を一度に処理でき、精算に要する時間と手間がさらに少なくなることが予想される。12月上旬に行われるテスト導入の結果に注目したい。
「書店web」との連携など、顧客、スタッフにもメリットがある
文献社のセルフPOS の特徴としては、まず同社のクラウドシステム「書店web」との連携がある。売上情報の即時集計・全店でのデータ共有は他社のサービスでも行われているが、「クラウドの方からもデジタルサイネージとして顧客向けの広告やイベント情報などを流すことができます」と宮下部長は語る。会員限定、また期間や購入商品などさまざまな限定条件でポイントの特別付与を行ったり、併設のカフェや近隣の店舗とも提携してクーポン券を発行したりといった顧客サービスも可能になるという。
顧客側のメリットの他、スタッフが現金を扱わなくて済むことによるストレスの軽減、有人レジを減らすことで人件費の削減につながる、といった書店側のメリットも考えられる。既に導入している書店での実績が認められれば、他書店への「導入も早まっていくのではないか」と宮下部長は見ている。
文献社ではさらに、スマートフォンにバーコードリーダーを装着してハンディターミナルにする「スマホレジ」も来年以降のリリースを検討中。売上登録、仕入れ検品、入出庫、返品、発注といった既存のターミナルの用途をスマホで行うことで、よりコンパクト化・低コスト化を図る。もちろんスマホとしての機能も備えているので、従業員同士の無料通話やアプリを用いた社内のコミュニケーションツールとしての活用も考えられる。会員アプリに売上登録/決済の機能を持たせることで、フルセルフPOS として展開することも可能だろう。システム的にはそう難しくはなく、店舗・スタッフにとっても、顧客にとっても、利便性の高い形での導入を相談していきたい、としている。
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