河北新報社 新聞配達網生かして生活用品を宅配 薬王堂と提携

2021年12月14日

 河北新報社は12月2日、東北6県でドラッグストアを展開する薬王堂(岩手県矢巾町)と業務提携契約を結んだ。生活用品や食品といった商品の個人宅配に新聞配達網を活用する「P!ck and Dash(ピックアンドダッシュ)」事業を2022年2月、仙台市泉区の1店舗でスタートさせる。

 

契約書を取り交わした鈴木常務(左)と西郷取締役

 

 モデル地区に、河北仙販長命ケ丘支店(仙台市泉区)の配達エリアを設定。薬王堂仙台泉館店(同)がスマートフォンアプリを通じ、取扱商品(第1医薬品とたばこを除く)の注文を受けると、仙販長命ケ丘支店が1日3便の配達で購入者宅に配送する。

 

 午前中の注文で、当日午後に届けられるという。河北仙販には薬王堂から配達料が入る。実施地区はモデル地区の状況を見て、今後拡大を検討する。

 

 薬王堂は東北6県に計349店あり、うち79店が宮城県内に立地する。今年3月には、店頭やドライブスルーで商品を受け取れる「ピックアンド」事業を開始。さらに個別宅配にも拡大を検討する中、新聞社の持つ配達網と信用力に注目し、河北新報社と河北仙販に提携を呼びかけた。

 

 一方、河北仙販も新聞販売にとどまらない「総合デリバリー企業」を目標に掲げており、事業がそれぞれにプラスになると判断した。

 

 モデルとなる薬王堂仙台泉館店の周辺は、仙台北部郊外のベッドタウンで、かつスーパーの空白域。高齢化に伴い、車が使えなくなったり、足腰が衰えたりして買い物に苦労する住民が増えている。今回の個別宅配事業により、こうした人々が生活用品や食品を買いやすくなると期待される。

 

 仙台市青葉区の河北新報社で締結式があり、薬王堂の西郷孝一取締役常務執行役員経営戦略本部長は「新型コロナウイルス後の新しい買い物の仕方を提供していく」と強調した。

 

 河北新報社の鈴木紳一常務は「新聞社のネットワークを活用し、顧客と商品を結ぶラストワンマイルを担う。東北に根を下ろす企業同士、新たなビジネスモデルが構築できる」と述べた。