毎日新聞社などが出資して2020年4月に設立した社会調査研究センター(代表取締役社長=松本正生・埼玉大学名誉教授)は、NTTドコモとの間で、選挙・世論調査に関する基本契約を締結した。社会調査研究センターは、NTTドコモが運営する「プレミアパネル」を利用し、新時代のインターネット調査「dサーベイ」を提供する。
プレミアパネルは、NTTドコモのポイントサービス「dポイントクラブ」の会員のうち、パーソナルデータの第三者提供を許諾している約5640万人(21年9月末現在)を対象に、アンケートを通じて商品などのプロモーションやリサーチができるサービス。アンケートの回答者には謝礼としてdポイントが付与される。
dサーベイは、このプレミアパネルを利用して、社会調査研究センターが実施する新しい方式のランダムサンプリング(無作為抽出)調査。有権者のほぼ2人に1人を母集団として対象者を無作為に抽出し、全国調査だけでなく地域限定の調査もできるのが特徴だ。
無作為抽出された対象者のスマートフォンにNTTドコモからメッセージが送られ、受け取った側はスマートフォンの操作だけでアンケートに回答できる仕組みで、回答データは個人を特定しない形で集計・分析する。
携帯・固定電話の番号を無作為抽出して対象者に電話をかける従来の電話調査は、見知らぬ相手から電話がかかってくるため、特殊詐欺ではないかなどと不安を感じる人も多く、なかなか調査に協力してもらえないという問題が、年々深刻になっている。
dサーベイは、NTTドコモが配信する「メッセージR」などで調査への協力を依頼するため、そうした不安を対象者に与えることなく調査ができる。
また、携帯電話の番号を使用する従来の調査は、地域を限定した調査が難しいという問題があった。dサーベイは会員のパーソナルデータを基に、都道府県や市町村、衆院小選挙区など地域を限定した調査ができるため、各種の国政・地方選挙の情勢調査に適している。
投票を済ませた人を対象に、「誰に投票しましたか」と質問する投票行動調査(新出口調査)もできる。投票当日に投票所の出口で行う従来の出口調査では、近年増加している期日前投票のデータを得られないため、別途、期日前投票の投票所の出口でも調査をする必要があり、経費もかかる。
しかし、dサーベイによる投票行動調査は、投票日に実施すれば、期日前投票をした人にも合わせて聞くことができ、期日前投票を含むデータを得られる利点がある。
社会調査研究センターは21年3月以降の各種選挙で、毎日新聞のほかTBSテレビ、フジテレビ、神戸新聞などと共同で調査を実施してdサーベイの実績を重ねており、センターのホームページ(https://ssrc.jp)で紹介している。