徳島大と平惣 「未来の書店」をテーマにワークショップ アイデアを店舗で試行・検証

2021年12月24日

 

 

 

 徳島大学と一般社団法人大学支援機構は、徳島の書店「平惣」の協力のもと、12月3日、10日、17日の3日間にわたり、学生らとともに、「未来の書店」をテーマにアイデアを出し合い、同書店で実践、検証するワークショップを開催した。

 

業界関係者も参加

 

 このワークショップは、4つのグループに分かれ、地域における書店の役割や未来について、学生を中心に、平惣の社員、出版業界関係者らを交え、ディスカッションし、書店の課題解決となるアイデアを出したのち、実際に平惣の店舗で試行、検証するプロジェクト。

 

 当日は販売会社トーハンをはじめ、小学館や祥伝社、メディアドゥ、ライツ社、文化通信社が参加し、株式会社コルクの佐渡島庸平氏やいわた書店の「1万円選書」など出版に関する事例だけではなく、他業界のイノベーション事例を分析し、今後の書店経営に活かすべく、学生らと議論を交わした。

 

アイデアを出し合い、議論を交わす参加者

 

書店活性のアイデア出し合う

 

 あるグループでは、旭山動物園のリピーター率が高い理由について、「パンダなどの目玉となる動物を招くのではなく、今あるリソースの中で、従来の観賞型から体験型にモデルチェンジしたからでは」と分析。そのうえで「作中に出てくる飲食物など、世界観を追体験できる商材と併売してみては」、「小説の舞台を旅するツアー企画」など、書店活性化のアイデアを出し合った。

 

 また人口1000人の徳島県木頭地区にある「未来コンビニ」が地域のハブになっている点に着目し、「来店客が選書する棚を設置し、参加型の書店にすることで、コミュニティの場としては」など、書店の機能面について言及する場面も多く見受けられた。

 

 最終日には、各グループから、プライベートを確保された落ち着いた空間で、店内の書籍を読むことができるスペースを設置する案や、一般客が自身の推薦する本を紹介、プレゼンする機会を設け、売上の一部をそのプレゼンターに還元する参加型のモデルなど、従来の枠組みにとらわれない企画が発表された。

 

新しい書店のあり方を考える

 

 平惣の平野直毅専務取締役は、今回のワークショップについて「若い世代が、本を介したコミュニケーションの場を書店に求めていることが意外だった。若い世代と共に議論を交わし、作業することで、大きな刺激を受けた。今後もこの活動を続けていき、先入観や古い価値観にとらわれない純粋な若者の意見を聞くことで、新たなサービスや書店のあり方を考えていきたい」と3日間を振り返った。