生粋の鉄道オタク(鉄子)が、日本全国に散在するローカル駅を目指して旅に出る──。地方にポツンとたたずむ駅を舞台にしたオムニバス形式の旅情ドラマ「鉄オタ道子、2万キロ」(テレビ東京系、毎週金曜24時52分~)が、1月7日から始まった。このオリジナルドラマの制作に、天夢人発行の雑誌『旅と鉄道』編集部が特別協力している。ドラマでは実際の雑誌名「旅と鉄道」が使われ、オープニングでは大きくタイトルロゴが登場するほか、天夢人発行の鉄道書籍の巨大ポスターが貼られた編集部内で撮影したシーンも登場する。また、ドラマのスタートに合わせて、1月21日発行の『旅と鉄道』3月号にも、主演を務める女優・玉城ティナさんのインタビューなどコラボ企画が掲載される予定だ。【増田朋】
山奥、トンネルに挟まれた断崖絶壁など、全国各地には「秘境駅」が存在する。玉城さん演じる大兼久道子は、有名家具メーカーの企画営業として忙しく働く中、時間ができるとそんなローカル駅を目指して1人旅に出る。
第1話の舞台は、北海道にある〝日本で唯一宿泊できる駅〟である函館本線・比羅夫駅。駅に降り立った道子は、「これまで訪れた駅の中でも、ぶっちぎりの『ここどこ?』感だ」と感激。年季の入った看板や駅舎の雰囲気、周囲の自然などをカメラで撮りながら、堪能していく。
玉城さんは、今回がテレビ東京のドラマ初主演。彼女が行くローカル駅でたびたび出会う青年・甲斐役を栗原類さんが、雑誌『旅と鉄道』編集長役を鉄道ファンとしても有名な六角精児さんが演じている。また、同誌編集部で働く〝鉄オタ女子〟にスポットを当てたスピンオフドラマ「鉄オタのぞみ、50キロ」も配信している。
「私たちの存在が知ってもらえる機会に」
天夢人は2011年9月から隔月刊誌『旅と鉄道』(奇数月21日、発売=山と渓谷社)を発行。単行本シリーズ「旅鉄BOOKS」も通算50巻を超えるなど、「鉄道」や「旅」のコアなファン、それらに興味があるライトなファンまで、幅広い層向けのコンテンツを作っている。
そんな同社に、テレビ東京側から新ドラマへの協力の打診があったという。『旅と鉄道』編集長の真柄智充氏は、「単行本シリーズ『旅鉄BOOKS』の50巻目もちょうど『秘境駅大図鑑』だった。人気の高い秘境駅をテーマにしたドラマを作るということで、どのような形で協力できるか話し合ってきた」と明かす。
『旅と鉄道』は秘境駅に関する情報を提供したり、ドラマ内で同誌編集長が登場するシーンは、リアリティを持たせるため、実際に天夢人社内の編集部がロケ地となり、撮影されている。
また、1月21日発行の『旅と鉄道』最新号でもドラマとコラボしている。玉城さんのインタビューをはじめ、ドラマに登場する駅の紹介、旅や鉄道に関するテレビ番組が増えていることについてテレビプロデューサーに聞くなどしている。
この、最新号は番組内で俳優に直接PRしてもらう予定。真柄氏は「テレビ東京でも期待の新ドラマだと聞いている。それに当誌が役立てるのはうれしいこと」としたうえで、「テレビドラマとのコラボで、私たち『旅と鉄道』の存在が、より多くの人に知ってもらえる機会にもなる。ドラマに合わせて、書店などで『旅と鉄道』や旅鉄BOOKSシリーズをドラマの舞台としてポップ展開、周知PRすることで、ドラマも、『旅と鉄道』も、書店も盛り上がるきっかけになれば」と期待している。