【2022年・年頭所感】東京都新聞販売同業組合・酒井理之組合長

2022年1月1日

 

 新年あけましておめでとうございます。

 

 昨年は組合員の皆様はじめ発行本社、関係各社の皆様方には大変お世話になり、ありがとうございました。本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

 東京組合では、今期の最重要課題に「読者苦情ゼロ」を掲げ、組合活動を行っております。その実現に向け、ここ数年継続して取り組んでいる活動の一つに東京都消費生活総合センターの訪問があります。これは、センターとの対話を重ねる中で信頼関係を築くことを目的としており、昨年11月には2年連続で多摩組合と合同で訪問いたしました。

 

 新型コロナウイルスの蔓延により消費生活センターに寄せられている新聞販売に関する相談・苦情の総件数は減少傾向にあるものの、「訪問販売」「高齢者」といったカテゴリーでは依然として上位にあります。また、判断不十分者に対する契約や高齢者に対する長期契約のほか、解約時の景品引き揚げ、数年先の契約(先付契約)、契約書面不備の問題など様々な案件について指摘を受けました。

 

 センターの相談員は、消費者だけの味方をしているのではなく、事業者側の立場も理解を示したうえ、公正な立場で常識的な判断の下、相談や苦情の問題解決に尽くしてくれています。それが故に、高齢者やそのご家族が困って新聞契約の解約を申し出ても、販売店側が契約を盾に解約に応じないケースでは、相談員は「本当にストレスを抱えてしまう」と吐露しておりました。

 

 東京のような都市部では、少子高齢化や核家族化、単身世帯の増加などで、地域コミュニティーの役割を担ってきた町内会などの組織の弱体化が加速しています。また高齢者の安否確認などが社会問題化している現状、多くの新聞販売店や新聞組合が行政と連携して地域の子供たちや高齢者の見守り活動に参加しています。日本新聞協会が新聞販売店の社会貢献活動を顕彰する2021年の地域貢献大賞では、東京組合が初めて推薦した「文京区ハートフルネットワーク事業」が地域貢献賞を受賞しましたが、こうした取り組みを消費生活センターでも認識しており、新聞販売店の活動を高く評価しています。にもかかわらず、同じ新聞販売店が高齢者に対する不適切対応が少なからずあるという状況から「せっかく社会的に良い事をなさっているのですから、こちらの方ももう少しちゃんとしていただかないと…」と相談員から皮肉を言われてしまいました。

 

 特定商取引法にしても東京都消費生活条例にしても、私たち新聞販売店は、まだまだ理解不足、勉強不足である点は否めません。とくに高齢者に対する悪質な新聞セールスを私たちが放置していると、いずれ法令や条例に規制が盛り込まれることは想像に難くありません。そうならないために、いや、私たち自身が地域に必要とされる存在であり続けるために、特に高齢者に対する新聞契約については相手の状況に応じて柔軟な対応をすることや場合によっては業界全体で新たな規範を作るべき時期なのかもしれません。

 

 「せっかく社会的に良いことをなさっているのだから…」このような言葉を今後は絶対に言われることのないようお互いに襟を正していきたいと思います。

 

 本年も引き続きご理解、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。