講談社ら4社 海賊版配信で米国IT企業を提訴

2022年2月2日

 講談社は2月1日、KADOKAWA、集英社、小学館とともに米国のIT系企業「クラウドフレア」社に対して、海賊版コンテンツの公衆送信・複製の差し止めおよび損害賠償を求めて提訴したことを発表した。クラウドフレア社は国際的に活動するコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)事業者の1社。そのサービスを多くの海賊版サイトに提供しているという。損害賠償請求額は各社1作品、合計4作品の被害総額の一部にあたる4億6000万円。

 

 講談社によると、CDNと呼ばれる企業には、世界各所に大容量のサーバーを設置し、契約先サイトのコンテンツをそれらサーバーに一時的に複製する(キャッシュ)ことで、ユーザーからのアクセス先を分散し、当該サイトの通信速度を確保するなどの役割がある。

 

 しかし、クラウドフレア社のCDN事業は、メールアドレスの登録のみで契約が可能で、一定の範囲であれば無料でサービスを利用することができる。また、サイト運営者は同社サービスに登録することで、氏名や連絡先などの運営者情報を同社に代替させることが可能。こうした特性から、身元の特定を嫌う海賊版サイトの多くが、クラウドフレア社のCDNサービスをこぞって利用するようになっているという。

 

 それら海賊版サイトの中には、月間1億を超えるアクセスをこなし、広告収入を荒稼ぎしている悪質なサイトが複数存在するといい、一般社団法人ABJが、アクセス数の多い上位10の海賊版サイトで違法に読まれた漫画の小売り額を試算した結果、その額は21年の1年間だけで1兆円を超えるまでに拡大。当該10サイト中9サイトまでが、クラウドフレア社のCDNを利用していることがわかっているとしている。