第10回「全広連日本宣伝賞」 小山薫堂氏ら4氏に贈賞決定

2022年2月2日

 全日本広告連盟(大平明理事長)は2月2日、第10回「全広連日本宣伝賞」の各賞受賞者を発表した。各賞は5月19日開催の第70回「全日本広告連盟沖縄大会」(沖縄市)の式典内で贈賞する予定。

 

 全広連日本宣伝賞は、広告主「松下賞」、媒体社その他のメディア関係会社及びイベントその他のコンテンツのプロデューサー「正力賞」、広告関連会社「吉田賞」、クリエーター「山名賞」で、広告の社会的使命の促進に係る広告界の向上・発展に尽くし寄与したもの(個人)を、年1回顕彰している。

 

 

 第10回の松下賞は、味の素執行役会長で、日本アドバタイザーズ協会の理事長などを務める伊藤雅俊氏に贈る。伊藤氏は、味の素の代表取締役社長、代表取締役会長などを歴任。2021年から現職。16年から日本アドバタイザーズ協会理事長として、ダイバーシティ委員会創設、字幕付きCM導入、JICDAQ(デジタル広告品質認証機構)設立へ尽力するなど、広告主の立場から諸課題に対してリーダーシップを発揮してきた。

 

 また、03年から味の素と日本オリンピック委員会が共同で展開している「ビクトリープロジェクト(R)」や「勝ち飯(R)」では、トップアスリートへの食を通じたコンディショニングサポートを継続。17年から日本スポーツ協会会長をつとめ、社会活動の分野でも活躍。広告界全体の発展と健全化に大きく貢献した。

 

小山氏

 

 正力賞は、放送作家で脚本家の小山薫堂氏(京都芸術大学副学長)に贈る。同氏は日本大学芸術学部在籍中に放送作家として活動を開始した。「料理の鉄人」「カノッサの屈辱」など、斬新なテレビ番組を数多く企画。映画「おくりびと」で第32回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第81回米アカデミー賞外国語部門賞を獲得するなどコンテンツプロデューサーとして卓越した能力を発揮している。

 

 文化庁「日本博」企画委員、「2025年大阪・関西万博」テーマ事業プロデューサー、熊本県PRキャラクター「くまモン」のプロデュースなど、地域創生やSDGsという社会性の高いテーマのプロジェクトにも精力的に取り組むなど「幅広い分野での質の高い活動は贈賞に値する」と評価された。

 

嶋村氏

 

 吉田賞は、早稲田大学商学学術院教授で日本広告学会会長の嶋村和恵氏に贈る。1995年早稲田大学助教授を経て、2001年から現職。専門は広告論。16年度から女性として2人目となる日本広告学会会長をつとめ、デジタルシフト研究委員会を設けるなど、デジタルマーケティングへの対応を推進。新しい時代の「広告」を再定義し、学会の存在価値を大いに高めている。

 

 日刊工業新聞社「日本産業広告賞」の審査委員長をつとめるなど、広告界とのつながりにも注力している。長年に渡り、大学での広告教育を通して、優秀な人材を多数輩出しており、人材育成の面からも広告界全体の発展に寄与した功績は大きいとされた。

 

杉山氏

 

 山名賞は、クリエイティブディレクターの杉山恒太郎氏に贈る。同氏は電通入社後、クリエイティブディレクターとして活躍。1999年からデジタル領域のリーダーとして、インタラクティブ広告の確立に貢献。2015年から㈱ライトパブリシティ代表取締役社長。

 

 主な作品は、小学館「ピッカピカの一年生」、セブンイレブン「セブンイレブン、いい気分!」、サントリーローヤル「ランボー」シリーズ他で、人々の記憶に残るCMやコピーを制作し、国内外の広告賞を多数受賞。18年日経新聞での連載を元に「アイデアの発見」を出版し、若い広告人へ「歴史に学ぶ大切さ」を訴え、大きな話題を呼んだ。国内外のネットワークも広く、長年にわたり、広告界へ多大な功績を残していることが評価された。