第63回毎日芸術賞(主催・毎日新聞社、特別協賛・信越化学工業株式会社)に選ばれた6人への贈呈式が2月3日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開かれた。賞状を丸山昌宏・毎日新聞社社長が、信越化学工業からの記念品を広田勝己・毎日新聞社取締役が受賞者に手渡した。
毎日芸術賞は1959年に毎日新聞の創刊3万号を記念して、美術、音楽、演劇などの部門ごとに行われていた顕彰制度を一本化して創設された。優れた芸術的成果を上げた個人・団体に贈られており、今回は俳優の風間杜夫さん(72)ら6人が選ばれた。
贈呈式の冒頭、丸山社長は「人々の交流が制限され、先が見通せない状況だからこそ、芸術が人々の心に光を灯し、みなさんの芸術を追求するエネルギーが私たちに明日を歩む勇気や気力を与えてくれている」と6人の功績をたたえた。
詩集「深きより 二十七の聲」で受賞した文学Ⅱ部門の高橋睦郎さん(84)は、中学時代に毎日新聞の新聞配達をしていたエピソードや、毎日中学生新聞(2006年休刊)に詩や短歌などを投稿していた経験に触れ、「僕を育ててくれた毎日新聞からの最高のご褒美に言葉もありません」と語った。
小説「インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー」で受賞した文学Ⅰ部門の皆川博子さん(92)は「最初の本を出してから50年の節目に重い賞をいただき、大変うれしく、ありがたく思っている」と喜んだ。
「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」での展示で受賞した美術Ⅰ部門の三島喜美代さん(89)は「命がけで遊んで制作してきました。だから嫌になったことはない。これからも遊び続けたい」と意欲を表した。
「下谷洋子書展―上州の韻(ひび)き こよなく・かな―」の成果で受賞した美術Ⅲ部門の下谷洋子さん(71)は「晴れがましい受賞ですが、厳しい批評をいただいたと思っています」と気を引き締めた。
舞台「セールスマンの死」などでの演技で受賞した演劇・邦舞・演芸部門の風間杜夫さんは「役者人生50年の節目に出演した5本の芝居が受賞の対象となり、一層喜びが増しております」と感慨深げ。「ハープ・リサイタル2021」に至る長年の功績で特別賞を受賞した音楽Ⅰ部門の吉野直子さん(54)は「少しマイナーなハープにスポットライトを当ててくださった。今後も楽器の無限の可能性を伝え続けたい」と抱負を語った。