日経広告研 22年度は3・7%増の予測 ネット広告が全体をけん引

2022年2月15日

 日経広告研究所は2月7日、2022年度(4月~23年3月)の広告費予測を発表した。それによると、22年度の広告費は前年度に比べて3・7%増えると予測。半期別では、上期が4・1%増、下期が3・3%増とみている。インターネット広告が高成長を持続し、全体の伸びをけん引する。

 

 同研究所によると、コロナの影響が直撃した20年度の広告費は16・1%減少。リーマンショック後の09年度よりも悪化し、特定サービス産業動態統計で過去最大の減少率となった。21年度は一転して14・8%伸びる見通しで、バブル期だった1989年度の13・2%を上回り、過去最高の伸び率となるとしている。

 

 22年度の広告費も、マクロ景気の回復を背景に安定した伸びが見込まれる。21年度のような反動増が見込めず、増加率は鈍るとはいえ、3・7%の底堅い伸びを見込む。ただ、「コロナ前の水準を回復するのは、23年度以降になりそうだ」と予測している。

 

 媒体別では、インターネット広告が21年度に26・5%と成長を加速し、さらに22年度も14・7%と好調を持続する。巣ごもり需要をとらえて成長する電子商取引やゲームなどの業態は、ネット広告と親和性が高く、コロナ禍でも積極的に広告を出稿している。

 

 また、大手広告会社がネット広告の伸びを加速させている点も指摘。「大手広告会社が得意先とするナショナルブランドの間で、ネット広告を利用する企業が広がっている」という。

 

 一方、テレビ広告は22年度も3・1%の伸びを見込む。22年度は東京五輪効果がなくなり、タイム広告はマイナスの見通しだが、コロナ感染が落ち着けば、交通・レジャーなどのスポット広告の増加が期待できるとみている。

 

新聞広告は5・6%増

 

 21年度の新聞広告は5・6%増の見込みだ。21年度は全国紙が相対的に伸びを高めたが、「この傾向がどう続くか注目される。22年度は横ばいを見込んでいる。

 

 雑誌広告は21年度に0・5%減が見込まれる。この傾向は22年度も続き、雑誌広告は3・1%減る。交通広告はコロナ禍で、広告と接触する機会が減っている状況から脱しきれないが、21年度1・3%増、22年度3・5%増を見込む。

 

 折り込み・ダイレクトメールは21年度にリバウンド傾向が鮮明となり、6・5%の伸びが見込まれる。22年度も1・5%増の見込み。「コロナの感染状況が落ち着けば、旅行、宿泊、飲食などの業種から折り込みへの出稿が増える」と期待している。